CTBTO・フロイド事務局長来日 条約発効に向けた日本の取組を評価
20 Jan 2023
CTBTO・フロイド事務局長(日本記者クラブホームページより引用)
包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)のロバート・フロイド準備委員会事務局長は1月19日、日本記者クラブで会見を行った。
包括的核実験禁止条約(CTBT)は、すべての核兵器の実験的爆発または他の核爆発を禁止する核軍縮・核不拡散を進める上で、極めて重要な条約とされ、日本は1997年に批准し、2022年3月時点の批准国は172か国となっているものの、同条約の発効に必要な特定の44か国のうち、批准しているのは36か国にとどまっている。
就任後、初の来日となり岸田文雄首相他との会談に臨んだフロイド事務局長は会見で、CTBTフレンズ[1]CTBT発効促進の機運を維持・強化する観点で2022年に日豪間で立ち上げられた非核兵器国によるグループを通じたCTBT未批准国への働きかけなど、これまでの日本政府による同条約発効の早期化に向けた取組を高く評価。「日本は核の攻撃を受けた唯一の国として、将来世代が核実験の脅威によって被害を被らないようにすること、核実験によって世界の安全保障が損なわれないようにすることに強いコミットを発揮している」と強調。条約の遵守状況の検証体制として維持・運営している国内10か所の監視施設および実験施設など、日本の技術面における貢献にも言及した。
フロイド事務局長は、「核実験は1945年からCTBT署名開放の1996年までの間に2,000回を超えて行われたが、署名開放以降は12回以下にとどまっている」などと、CTBTの成果を示唆。最近1年間の批准国として、ガンビア、ツバル、ドミニカ、東ティモール、赤道ギニア、サントメ・プリンシペの6か国をあげた。一方で、昨今のウクライナ情勢にも鑑み「本当に不安をあおり立てる1年だった」と振り返り、「われわれは決して油断してはならない」と、核実験をなくす努力を怠らないことを改めて強調。北朝鮮の核開発問題に関して問われたのに対し、「2018年4月に北朝鮮は一時的に核実験を中止すると約束した。是非その約束を長期化して欲しい」として、同国によるCTBTへの署名がなされることを切望した。
脚注
↑1 | CTBT発効促進の機運を維持・強化する観点で2022年に日豪間で立ち上げられた非核兵器国によるグループ |
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