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福島の復興促進に向け法整備 「特定帰還居住区域」創設など

07 Feb 2023

政府は2月7日、福島の復興促進に向け、「特定帰還居住区域」(仮称)設定の制度創設を含む福島復興再生特別措置法の改正案を閣議決定した。〈復興庁発表資料は こちら

2017年の同法改正により、帰還困難区域内に市町村長が住民・移住者の生活・地域経済再建の拠点となる「特定復興再生拠点区域」を設定できる制度が創設され、除染・インフラ整備などの一体的・効率的実施などにより、避難指示が一部解除されてきた。一方で、同拠点区域外の帰還困難区域では、避難指示解除の具体的な方針が示されておらず、住民が帰還を望みながらも依然として避難生活を余儀なくされている状況にある。政府では、2021年に「2020年代をかけて拠点区域外に帰還意向のある住民が帰還できる」よう、必要な箇所の除染を進めるという方針を決定した。

今回、その方針を実施すべく、「特定復興再生拠点区域」外の帰還困難区域においても、避難指示解除による住民の帰還および帰還後の生活再建を目指す「特定帰還居住区域」を市町村長が設定できる制度を創設することとした。「特定帰還居住区域」は、帰還住民の日常生活に必要な宅地、道路、集会所、墓地などを含む範囲で、

  1. 放射線量を一定基準以下に低減できる
  2. 一体的な日常生活圏を構成しており、事故前の住居で生活の再建を図ることができる
  3. 計画的かつ効率的な公共施設等の整備ができる
  4. 「特定復興再生拠点区域」と一体的に復興再生できる

――という要件で設定。市町村長が「特定帰還居住区域」の設定範囲、公共施設整備などの事項を含む「特定帰還居住区域復興再生計画」(仮称)を作成し国が認定する。認定を受けた計画に基づき、除染・インフラ整備の費用負担や代行などに関し国による特例措置の適用が図られることとなる。

同制度の運用により、帰還困難区域における避難指示解除に向けた取組を着実に進め、帰還意向のある住民の帰還の実現、居住人口の回復を通じた自治体全体の復興を後押ししていく。

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