原子力産業新聞

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規制委が高経年化原子力発電所の安全規制で新制度案を決定

14 Feb 2023

原子力規制委員会臨時会合の模様(インターネット中継)

原子力規制委員会は2月13日に臨時会合を行い、高経年化した原子力発電プラントに関する安全規制について新たな制度案を取りまとめた。資源エネルギー庁において運転期間見直しの検討が進められていることを踏まえ、昨秋より議論してきたもの。運転期間の規定にかかわらず、運転開始から30年を超える際、事業者に対し、10年以内ごとに、安全上重要な機器類の劣化を管理するための「長期施設管理計画」(仮称)の策定を義務付け、認可を受けなければ運転できないという仕組み。〈規制委発表資料は こちら

総合資源エネルギー調査会では昨年末、「現行制度と同様に、運転期間は40年、延長を認める期間は20年との制限を設けた上で、一定の停止期間(東日本大震災発生後の法制度の変更など、事業者が予見しがたい事由によるもの)に限り、追加的な延長を認める」(いわゆる、審査期間中は「時計を止める」)との方向性を示しており、2月10日閣議決定の「GX実現に向けた基本方針」にも盛り込まれている。今回の規制委による新制度案取りまとめにより、運転期間見直しに係る利用政策側と規制側、双方の考え方が出そろい、今後、2月下旬にも関連法案が閣議決定される見通し。

規制委員会では、12月22日より新たな制度案に対するパブリックコメントを実施。去る2月8日の定例会合で約1,700件寄せられた提出意見に対する考え方を整理した上で、決定が諮られたが、石渡明委員の反対により継続審議となった。13日の臨時会合では、関連法改正案の条文も合わせて再度決定が諮られたが、同委員は運転期間のあり方に関して「規制委員会が意見を述べる事柄ではない」ことを明記した委員会見解(2020年7月)の決定プロセスに係る疑義などを主張し反対。他4名の委員長・委員による賛成多数で決定となった。

石渡委員は、審査の長期化に伴う機器類の劣化進展や事業者との対応における公正さ維持に懸念を示したほか、運転開始から60年以降の規制に係る方針が不明確なことも指摘。今回、新制度案の取りまとめに際し事業者との意見交換を主導した杉山智之委員は、「規制の全体像に対する整理・説明が足りなかった」と、議論の進め方の拙速さを内省。原子炉安全工学専門でプラント審査を担当する立場から、今後、詳細な技術基準の策定を着実に進めていくとともに、審査期間の引き延ばしなど、審査の公正さに対する支障をきたさぬよう厳正な姿勢で臨む考えを示した。

山中伸介委員長は、「運転期間がどうあれ、われわれの任務は安全規制をしっかり行っていくこと」と述べ、個々のプラントごとに厳正な技術的判断を行う規制委員会としての姿勢を改めて強調。運転開始から60年以降の規制に関しては、「今後、10年ごとの審査で精度を上げていく」とし、必要な物理的データの取得・評価で担保できるとの考えを示した。会合終了後の記者会見で、新制度案について、地質学が専門で自然ハザードに係る審査を担当している石渡委員の賛同が得られなかったことについては、「分野の違いが原因ではない」と明言。引き続き同委員に対し理解を求めていくとした。また、「運転期間は安全規制ではない」との考えを強調。今回、示された関連法改正案で、40年の運転期間および延長認可に関しては、原子炉等規制法から電気事業法(経済産業相の認可事項)に移管されている。

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