原子力産業新聞

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規制委 高経年化プラントの評価に関し検討チームを設置

16 Feb 2023

会見を行う原子力規制委員会・山中委員長(インターネット中継)

原子力規制委員会は2月15日の定例会合で、高経年化した原子力発電プラントの安全規制に関する検討チームの設置を決定した。

同委では昨秋より、資源エネルギー庁による運転期間見直しに係る検討を見据え、高経年化プラントの安全規制に関する新たな制度設計を議論。去る2月13日の臨時会合で、新制度の概要および関連法改正案について決定した。新制度は、運転期間の規定にかかわらず、運転開始から30年を超える際、事業者に対し、10年以内ごとに、安全上重要な機器類の劣化を管理するための「長期施設管理計画」(仮称)の策定を義務付け、認可を受けなければ運転延長できないというもの。一方、資源エネルギー庁では昨年末、「現行制度と同様に、運転期間は40年、延長を認める期間は20年との制限を設けた上で、一定の停止期間(東日本大震災以降の法制度の変更など、事業者が予見しがたい事由によるもの)に限り、追加的な延長を認める」(いわゆる「時計を止める」)との方向性を示している。

規制委員会が新設する検討チームは、プラント審査を担当する杉山智之委員を中心に、原子力規制庁の職員らで構成。具体的な検討スケジュールについては示されていないが、原則、一般公開のもと、事業者からのヒアリングも行いながら議論していく。

15日の会合後の記者会見で、山中伸介委員長は、同検討チームの始動に当たり、「まずは劣化とはどのような物理的性質が重要なのかをきちんと整理し、運転期間にかかわらず、今までに取得されてきたデータ・評価手法がどのようなもので、何をどこまで評価すべきか、チーム内で共通認識を持つ」と強調。わかりやすい情報発信に努めていく考えも述べた。山中委員長は核燃料工学が専門だが、運転開始から60年以降の評価に関し、「個人の意見」として、「運転開始50年と60年でそれほど物理的特性が大きく変わるものではない」との見方を示した上で、関連法案の成立までにある程度の技術的大枠を固める考えを述べた。

13日の会合で自然ハザードに係る審査担当の石渡明委員は、運転期間に関する規制委員会の見解を巡り、新制度および関連法改正案の決定に反対。続く15日の会合でも、検討チームの設置について、「必要あれば参加する」としたものの反対を表明した。山中委員長は、今後の技術的議論の中で、引き続き石渡委員に新制度に対する理解を求めていくとしている。

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