ITERのTFコイル 日本分担分の製作が完了
01 Mar 2023
ITERで日本が調達する機器(QSTホームページより引用)
フランスで建設中のITER(国際熱核融合実験炉)に組み込む超伝導トロイダル磁場コイル(TFコイル)の日本分担分全8基の製作がこのほど完了した。量子科学技術研究開発機構(QST)が2月21日に発表したもの。QSTは2021年までに三菱重工業と共同でTFコイル4基を製作。今回、東芝エネルギーシステムズと共同で4基目を完成させ製作完了となった。〈QST他発表資料は こちら〉
TFコイルは、ITERの主要機器の一つで、高さ約16.5m(5階建てビル相当)、幅約9m、重量約300トンのD字型の超伝導コイル。計18基が真空容器を取り囲むように放射状に並び、高温かつ高密度のプラズマを閉じ込めるため、最大12テスラの強力な磁場を発生させる。ITERに用いるTFコイルは計19基製作され、9基(予備1基を含む)を日本、10基を欧州とで分担。巨大さにもかかわらず、誤差1万分の1以下(数mm)の厳しい精度が要求される。
今回のTFコイル製作完了を受け、QSTと東芝エネルギーシステムズは、「ITER計画における日本分担機器製作の着実な進展を示すとともに、同計画における日本の貢献が非常に大きいことを示すもの」としている。
日本分担分のTFコイル初号機はQSTと三菱重工が製作。2020年1月に三菱重工二見工場(兵庫県明石市)で行われた同機の完成披露式典で、ITER機構長のベルナール・ビゴ氏(当時、2022年逝去)は、「日本は常にプロジェクトの中心となる貢献をしており、世界の核融合開発の牽引役だ」と、日本の技術力を賞賛した。〈関連記事は こちら〉
ITERは2035年の核融合運転開始を目標にフランスのサン・ポール・レ・デュランスで建設中。日本製作のTFコイルのうち、7基は既に現地に輸送されている。2022年11月に行われたITER理事会によると、運転開始までの建設進捗率は77.5%(同9月末時点)となっている。