規制委が東京電力本社でヒア 柏崎刈羽
06 Mar 2023
東京電力・小早川社長(左)が原子力規制庁のヒアに応じる
原子力規制委員会は3月3日、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護に係る不適切事案に関し、同社・小早川智明社長へのヒアリングを行った。
柏崎刈羽原子力発電所では、2020年以降、核物質防護機能の一部喪失などの事案が発生。規制委員会は、「組織的な管理機能が低下」、「核物質防護上、重大な事態になり得る状況であった」と指摘し、2021年3月に同所の規制上の対応区分を「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)に変更。同4月、東京電力に対し、柏崎刈羽原子力発電所に係る規制上の対応区分が「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善するまで、事実上、運転が不可能となる是正措置命令を発出。合わせて同所に係る追加検査を開始した。
現地には、昨年末以降、2023年2月までに、山中伸介委員長他、4名の委員が視察に訪れている。今回のヒアリングは、その追加検査の一環として行われたもの。原子力規制庁の柏崎刈羽原子力発電所追加検査チーム長・古金谷敏之氏(長官官房緊急事態対策監)らが東京電力(本社)を訪れ、同社による改善措置活動の状況について説明を受けた。冒頭、小早川社長は、「自ら現場を確認する」ことの重要性を強調。設備のパフォーマンス向上などの取組状況を述べた上、引き続き「社長である私の責任で着実に対応していく」姿勢を示した。
ヒアリング終了後、取材に応じた古金谷氏は、東京電力との間の認識に関し「大きなズレはなかった」と、課題に対する取組・成果を認める一方、CAP[1]小さな気付きを広く収集し改善につなげる取組の不十分さなど、まだ改善の余地があることを指摘。今回のヒアリングに関し「結論ありきのものではない」と述べ、追加検査の終了や是正措置命令解除に向けた具体的見通しについては言及しなかった。
また、小早川社長は、「是正措置命令を受けてから2年間取り組んできた中身についてお話しした」と説明。柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関しては、「セキュリティとセイフティがしっかりと健全な状態になって初めて再稼働の時期について言及」する姿勢を示した上で、「スケジュールありきではなく、まずは改善」との考えを強調した。
原子力規制庁の柏崎刈羽原子力発電所追加検査チームは3月6日、現地にて稲垣武之所長らからのヒアリングを行う。
脚注
↑1 | 小さな気付きを広く収集し改善につなげる取組 |
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