IAEA「総合規制評価サービス」日程終了、規制委に産業界とのコミュニケーションを指摘
21 Jan 2020
IRRSミッションが終了し、会見を行うチームリーダーのジャマール氏(真ん中)と規制委の更田委員長
日本の原子力規制に関する制度や組織について評価を行うため来日していたIAEAの専門家チーム「総合規制評価サービス」(IRRS)のミッションが1月21日、8日間の日程を終え、チームリーダーのラムジー・ジャマール氏(カナダ原子力安全委員会上席副長官)は、原子力規制委員会の更田豊志委員長とともに合同記者会見を行った。
今回のIRRSミッションは、2016年1月に来日したミッションで指摘された勧告・提言への対応状況についてレビューを行う「フォローアップミッション」と位置付けられるもの。IAEAのガイドラインでは、本ミッションの2~4年後が実施の目安とされている。前回のミッションで、2つの良好事例とともに、13の勧告と13の提言が示されたのを受け、規制委員会では、明らかとなった課題について対応方針を取りまとめ、検査制度の見直しや放射線源規制の強化に関わる法整備などに取り組んできた。
会見で、ジャマール氏は「日本は相当な改善を成し遂げている」と、更田委員長は「大変活発な議論が行われた」と、それぞれ所感を述べた。
検査制度に関して、規制委員会では、前回ミッションでの指摘を受け、検査官の施設へのアクセス権限を確保した制度設計や、能力向上のため、米国原子力規制委員会への派遣や教育訓練課程の開設などを図ってきた。2020年度からの新検査制度の本格運用開始に向けて、ジャマール氏は「検査官がしっかり訓練を受けていることを確認した」と評価。一方で、「規制組織の独立性を損なうことがあってはならないが、産業界とのコミュニケーションは原子力安全に資する」とも述べ、カナダの事例にも言及しながら、規制組織が産業界による技術的革新や改善活動などを知る重要性を繰り返し強調した。
今回の「フォローアップミッション」の最終報告書は概ね3か月後に公開される運び。更田委員長は、福島第一原子力発電所事故の教訓として「継続的改善を怠ることは決して許されない」と述べ、「報告書提示を待たずに課題解決に取り組んでいく」姿勢を示した。