BWXT社 GEH社から「BWRX-300」圧力容器のエンジニアリング契約受注
24 Mar 2023
「BWRX-300」の断面図 ©GEH
米国のBWXテクノロジーズ(BWXT)社は3月21日、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」について、原子炉圧力容器(RPV)のエンジニアリング契約を受注した。
実際の契約業務はカナダ・オンタリオ州にあるBWXT社のカナダ支社が実施予定で、具体的にはRPVのエンジニアリング解析や設計支援、製造および資機材調達の準備など。これは2021年10月、GEH社とBWXTカナダ社が「BWRX-300」の商業化促進に関する協力で合意したことに基づいている。
BWXT社のJ.マッコーリー商業活動担当社長は、「『BWRX-300』用RPVのように複雑な機器のエンジニアリング・プロジェクトは当社の得意とするところだ」とコメント。原子力機器の設計・製造で同社が保有する優れたエンジニアリング能力により、北米でのSMR建設に向けた最初の設計契約の一つを効率的に実行していくと述べた。
GEH社によると、「BWRX-300」は電気出力30万kWの軽水炉型SMRで、2014年に米原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)の同社製原子炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」の技術や機器を最大限に活用している。同炉では受動的安全システムが様々な形で組み込まれており、設計を大幅に簡素化したことで、単位出力当たりの資本コストはその他のSMRと比べて大幅に削減されている。
「BWRX-300」はまた、今月15日にカナダ原子力安全委員会(CNSC)が提供している任意の設計評価サービス「ベンダー設計審査(VDR)」の主要段階をクリア。実際の建設に向けて、GEH社は指摘された事項を同炉にフィードバックする方針だ。
「BWRX-300」の初号機としては、カナダのオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社がダーリントン原子力発電所内での建設を計画中で、2022年10月に建設許可申請書をCNSCに提出。2028年第4四半期の完成を目指して準備作業を進めており、今年1月に同社はGEH社に加えて、カナダで加圧重水炉(CANDU)事業を手掛けるSNC-ラバリン社、および建設大手のエーコン(Aecon)グループと6年契約でチームを組む協定を締結している。
カナダではこのほか、中西部サスカチュワン州のサスクパワー社が州内で「BWRX-300」を建設すると発表、米国ではテネシー峡谷開発公社(TVA)がテネシー州での建設可能性に基づき、予備的な許認可手続きを開始した。また、エストニアのフェルミ・エネルギア社とポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー社も、「BWRX-300」の建設を計画している。
(参照資料:BWXT社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)