インド 2047年までに原子力シェアが約9%に
13 Apr 2023
DAEのほか、科学技術省や地球科学省を担当するシン閣外専管大臣 ©Indian Government
インド政府で原子力や科学技術を担当するJ.シン閣外専管大臣は4月9日、2047年までに同国の総発電電力量に占める原子力の割合が9%近くまで増大するとの見通しを明らかにした。インドは2070年までにCO2排出量を実質ゼロ化するという目標を掲げているが、原子力を目標達成の一助とする方針である。
これは同相がムンバイで、バーバ原子力研究センター(BARC)および原子力省(DAE)の研究主幹グループと検討会議を行った後に公表した。同相はまた、5日に議会下院で、国内の原子炉22基が2021年から2022年の間に総発電量の3.15%に相当する471億kWhを発電したと書面で表明。同相によると、DAEは現在678万kWの原子力発電設備容量を、2031年までに約3倍の2,248万kWに増強する目標を設定しており、米国やフランスなどと肩を並べる原子力大国となることを目指している。
このため、政府は建設中の原子炉(このうちカクラパー3号機は2021年に送電開始)に加えて、さらに10基の建設計画を2017年5月に原則承認。これら10基はすでに、行政上の承認と財政的な認可を受けている。具体的には、南西部カルナタカ州のカイガ原子力発電所5、6号機、北部ハリヤナ州のゴラクプール3、4号機、中央部マディヤ・プラデシュ州のチャッカ1、2号機、および北部ラジャスタン州のマビ・バンスワラ1~4号機で、これらはすべて出力70万kWの国産加圧重水炉(PHWR)となる予定である。
このように急速な原子力発電開発の進展は、N.モディ首相の肝入り。新規の10基は首相の指示で承認されたもので、原子力法の修正によりインド原子力発電公社(NPCIL)はその他の政府系企業と合弁でこれらの建設が可能になった。モディ政権の特徴の一つとして、国内の様々な分野で原子力利用が幅広く進められており、農産物や果物の保存、ガンその他の疾病治療に最新の原子力技術を応用するなど、インドは原子力の平和利用拡大に大きく貢献している。
インドで稼働中の原子炉は大部分が低出力の国産PHWRで、最大のものはカクラパー3号機の70万kW。タミル・ナドゥ州でロシア企業が建設したクダンクラム原子力発電所の2基(各PWR、100万kW)は、同国で唯一の大型軽水炉である。前述の新規の10基は本格的な原子力国産化イニシアチブの一部であり、重要なプロジェクトと位置付けられている。その他、インドは、米国やフランスなどからの大型原子炉の導入をめざし、交渉を進めている模様である。
(参照資料:インド政府の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)