原子力産業新聞

海外NEWS

韓国の政府系金融機関2社 ホルテック社と現代E&C社のSMR計画を支援

09 May 2023

K-SUREとチーム・ホルテックの協定締結
©Holtec International

韓国の政府系輸出信用機関である韓国貿易保険公社(K-SURE)と韓国輸出入銀行(KEXIM)はこのほど、米ホルテック・インターナショナル社が現代E&C(現代建設)社と進めている小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」(電気出力16万kW)の輸出計画を支援するため、これら2企業のチームと個別に協力協定を締結した。

ホルテック社の52日付発表で明らかになったもので、世界中で急速に拡大するクリーンエネルギーの需要や環境面の脱炭素化の動きに対応するため、同社は現代E&C社と組んだ「チーム・ホルテック」で韓国政府から公的な金融支援を受け、「SMR-160」等の原子力発電所を世界中で建設していく考えだ。

K-SUREは韓国産業通商資源部(MOTIE)に所属する機関で、韓国企業による海外事業や対外投資の促進を目的に、輸出入信用保険や海外投資保険などの信用供与を専門に行っている。K-SUREとチーム・ホルテックのビジネス協定は425日、MOTIEが米ワシントンDCで先進産業とクリーンエネルギーに関する両国の連携イベントを開催したのに合わせて締結された。

ホルテック社はこれに先立つ421日、ウクライナの原子力発電公社と協力協定を締結。同協定では、「SMR-160」の初号機をウクライナで20293月までに完成させるパイロット・プロジェクトの実施と、同国内で最大20基の「SMR-160」建設を視野に入れている。現代E&C社の今回の発表によると、同チームは「SMR-160」の建設を通じてウクライナのエネルギー・インフラを再構築する方針で、パイロット・プロジェクトに続く20基の建設を迅速に進めるとともに一部の機器をウクライナで製造可能とすることを目指している。そして、SMRの建設プロジェクトを通じてウクライナがエネルギー部門全体を刷新し、CO2排出量を実質ゼロ化できるよう、K-SUREの支援に基づく協力を積極的に進めていく。

一方、チーム・ホルテックがKEXIMから財政支援を受けるための協力協定は、同じくMOTIEイベントの直後の425日に締結された。

現代E&C社とホルテック社が202111月に事業協力契約を結んだ際、現代E&C社はホルテック社の主要なEPC(設計・調達・建設)契約企業となり、「SMR-160」の商業化に向けた標準モデルの完成に協力することになったほか、同設計を採用した発電所を世界中で建設する独占権を取得している。現代E&C社の発表では、同社はその後「SMR-160」発電所BOP(主機以外の周辺機器)の詳細設計に直接関わっており、ホルテック社が米ニュージャージー州のオイスタークリーク原子力発電所跡地で「SMR-160」初号機を建設する際、現代E&C社は初の韓国企業としてEPC業務と建設工事に携わる予定。KEXIMその他の韓国の公的機関による複数の財政支援を通じて、同社はホルテック社とともに韓国企業として原子力発電所の建設プロジェクトを世界中に拡大・模索するとしている。

(参照資料:ホルテック社現代E&Cの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA53日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation