今夏の電力需給 予備率3.0%以上を確保
30 May 2023
今夏のエリア別電力供給予備率(OCCTO発表資料より引用)
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は5月29日、今夏の電力需給見通しを取りまとめた。30日開催の総合資源エネルギー調査会に報告される運び。
それによると、全国各エリアで安定供給に最低限必要となる予備率3.0%以上を確保できる見通しとなったが、東京エリアについては、2021年度の冬季以降、電力の高需要期に実施してきた追加供給力公募、いわゆる「kW公募」による供給力増加を含めても、最も厳しい7月の予備率は3.1%と、ぎりぎりの水準が見込まれ、依然と予断を許さぬ状況にある。OCCTOでは、発電所の計画外停止などに備え、国・事業者と連携した追加対策を検討するとともに、電力需給モニタリングによる監視体制を強化し、需給ひっ迫の可能性がある場合のSNSを通じた周知を図るよう準備を進めていく。
資源エネルギー庁は3月末、今夏の電力供給力対策の基本的方向性を提示。「2022年度冬季は、暖冬などの影響もあり、燃料調達に起因する電力安定供給上の支障は生じなかったものの、ウクライナ情勢は未だ収束しておらず、今後、他国の需要の伸び次第では、LNGを始めとした燃料調達がさらに激化することも予想される」ことから、今後の供給力確保に向け検討を進めてきた。その中で、東京エリアでは、「kW公募」により、JERAが長期計画停止中の広野火力2号機(重油・原油、60万kW)で落札され、今夏の供給力として57.6万kW(7・8月)分が追加されている。
原子力発電の供給力は、2022年度冬季の全国最大需要時(1月25日9~10時、15,967万kWで東日本大震災以降の冬季最大需要を更新)、関西、四国、九州の3エリアで計857万kWだった。今夏の供給力見通しでは、同3エリアで計955万kW(8月)が見込まれている。