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米オクロ社 SPACとの合併で上場へ

14 Jul 2023

「オーロラ」発電所の完成予想図 ©Oklo Inc.

対話型人工知能「ChatGPT」の開発者、S.アルトマン氏が会長を務める米国のオクロ社(Oklo Inc.)は711日、同氏がCEOとして統括している特別買収目的企業(SPAC[1]未公開会社の買収を目的として設立される法人のアルトC・アクイジション社(AltC Acquisition Corp)との合併を発表した。

この合併により、先進的原子炉開発企業のオクロ社は同じ名前でニューヨーク証券取引所に上場し、開発中の次世代型マイクロ高速炉「オーロラ(Aurora)」の商業化を加速する。合併手続きは、両社の株主の承認を経て来年初頭にも完了する見通しである。

「オーロラ」は燃料としてHALEU燃料[2]U235の濃縮度が520%の低濃縮ウランを使用する液体金属高速炉のマイクロ原子炉で、電気出力は0.151.5kW。燃料交換なしで20年以上の熱電併給が可能なほか、放射性廃棄物をリサイクルしてクリーン・エネルギーに転換すると謳っている。

米エネルギー省(DOE)は201912月、先進的原子力技術の商業化を支援するイニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」の一環として、傘下のアイダホ国立研究所(INL)敷地内での「オーロラ」建設を許可。これを受けてオクロ社は翌20203月、原子力規制委員会(NRC)に「オーロラ」初号機の建設・運転一括認可(COL)を申請したが、NRCはオクロ社の審査情報提出が不十分として、20221月にこの申請を却下している。

その約9か月後、オクロ社は将来的な許認可手続きの効率的かつ効果的な推進のため、NRCに事前の協議活動の実施を提案した。現時点では、INL2026年か2027年に商業規模の「オーロラ」初号機の起動を目指しており、今年5月に同社は商業規模の「オーロラ」を将来的に2基建設する地点として、オハイオ州南部を選定。同地域の4郡で構成される「オハイオ州南部の多様化イニシアチブ(SODI)」と土地の利用に関する合意文書を交わしている。

今回の合併でオクロ社の総資本は最大5億ドルに増大、総資産評価額は85,000万ドルに達する見通し。これにより「オーロラ」用の資機材調達やサプライチェーンの強化など、初号機建設が加速され、同社は高速炉を用いた高度な燃料リサイクル技術を確立して、「オーロラ」で使用済燃料をクリーン・エネルギーに変換。長期契約で電力を直接販売するというビジネス・モデルを構築し、クリーンで安価、かつ信頼性の高いエネルギーの大規模供給という目標を達成していく。 

2013年に創設されたオクロ社は、2015年にアルトマン氏が会長に就任。同氏は「輝かしい未来の実現で重要なのは豊富な知識とエネルギーだ」と指摘しており、原子力の持つ可能性に同氏は長い間関心を抱いてきたという。同氏はまた、「先進的原子力技術の商業化を進める上で、オクロ社は正に最良の企業である」と明言。同社の技術はDOE傘下の国立研究所で30年以上運転された「実験増殖炉IIEBR-II)」で実証済みであり、シンプルな設計により建設に要するコストや期間が縮減されるという。

また、INL20202月、使用済燃料からの回収物質の提供を約束したことから、2026年頃の初号機起動に際し必要な燃料とサイトは確保済み。さらに、同氏にとって最も重要な点は、オクロ社がJ.ドワイトCEOのように高度な技術的専門知識を備えた創業者が主導する、強力なチームを備えていることだと強調している。

(参照資料:オクロ社アルトCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA712日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

脚注

脚注
1 未公開会社の買収を目的として設立される法人
2 U235の濃縮度が520%の低濃縮ウラン

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