原子力産業新聞

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EU 日本産食品の輸入規制撤廃へ

14 Jul 2023

日EU定期首脳協議で共同記者会見に臨む岸田首相、ミシェルEU理事会議長、ライエン同委員長(左より、官邸ホームページより引用)

EUは7月13日、福島第一原子力発電所事故後に導入した日本産食品に対する輸入規制を撤廃すると発表した。同日に行われた岸田文雄首相、シャルル・ミシェル欧州理事会議長およびウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長との日EU定期首脳協議(ベルギー・ブリュッセル)で明らかにされたもの。日本はこれまでも、EUに対し首脳レベルの会合を通じ、日本産食品に係る輸入規制措置の早期撤廃を要請してきた。

東日本大震災後の日本産食品に対する輸入規制の現状(外務省ホームページより引用)

発災後、55の国・地域で行われていた日本産食品の輸入規制は、今回の撤廃によって、11の国・地域に減少する。松野博一官房長官は14日の記者会見で、「一部の国・地域において規制が維持されていることは残念。また、ALPS処理水[1] … Continue readingの海洋放出を理由に一部において規制強化の動きがみられることは大変遺憾」と憂慮し、引き続き日本産食品の安全性を科学的見地から丁寧に説明していく考えを述べた。

また、これまでも福島県の食品・観光のトップセールスに努めてきた同県・内堀雅雄知事は、EUによる輸入規制撤廃の発表を受け、「EUにおける輸入規制の撤廃は、加盟する27か国すべてに適用されるものであり、その波及効果は非常に大きい」とする歓迎のコメントを発表。引き続き「さらなる輸入規制の撤廃に向け全力で取り組んでいく」と強調している。

脚注

脚注
1 多核種除去設備(ALPS)等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を下回るまで浄化した水。海水と混合し、トリチウム濃度を1,500ベクレル/リットル(告示濃度限度の40分の1)未満に希釈した上で放水する

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