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ポーランド  原子力人材育成に本腰

09 Aug 2023

WUTの本館で行われたPEJ社との協力協定調印式 ©Warsaw University of Technology

ポーランド国営エネルギー・グループ(PGE)の原子力事業会社であるPEJ(=Polskie Elektrownie Jądrowe)社は87日、原子力部門における人材育成や研究等で、ワルシャワ工科大学(WUT)と協力協定を締結した。

同協定では双方が培ってきた経験を共有するとともに、WUTの学生や院生が同国の原子力部門で職を得るのに必要な知識とスキルを身に付けられるよう、PEJ社とWUTが共同でカリキュラムや奨学金プログラム、有給の実務研修制度などを開発。科学論文やプロジェクトのコンテストも共同開催する予定で、この協力を通じて同国初の原子力発電所の建設と運転、および同国の原子力産業界が必要とする人材育成を促進する方針だ。

ポーランドは政府の原子力プログラムとして、国内の複数のサイトで2043年までに100kW級の原子炉を最大6基、合計600万~900kW建設することを計画中。202211月には最初の3基、小計375kW分の採用炉型として、米ウェスチングハウス(WH)社製の第3世代+(プラス)PWRAP1000を選定した。これらは、PEJ社が北部ポモージェ県のルビアトボコパリノ地区で建設することになっており、社は今年4月に建設プロジェクトの「原則決定(decision-in-principle=DIP)」を気候環境省に申請、同省は今年7月にDIPを発給している。

同国ではこのほか、政府のプログラムを補完する計画として、PGEグループとエネルギー企業のZE PAK社が韓国水力・原子力会社(KHNP)などとの協力により、中央部ポントヌフで韓国製「改良型加圧水型炉(APR1400)」の建設に向けた活動を推進中。また複数の民間企業が、米国のGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社やニュースケール・パワー社が開発した小型モジュール炉(SMR)の建設計画を進めている。化学素材メーカーのシントス社と共同で、GEH社製SMRBWRX-300」の建設を計画する石油化学企業PKNオーレン・グループは今年1月、同国の教育科学省およびWUTを含む国内6つの工科大学と、技術スタッフの教育・訓練プログラム設置に向けた合意書に調印している。

WUTのK.ザレンバ総長は今回、「本学では長年にわたって原子力分野のスタッフを教育し、傑出した専門家を数多く輩出してきたが、国内で原子力プログラムを実施するのにともない、熟練のエンジニアや専門家の需要が大幅に高まっている」と強調。「PEJ社との協力により、本学はトップクラスの専門家を国内で育成し、安全で先進的な原子力発電所の建設のみならず、その運転管理や維持など関係インフラ全体の運営を担う人材を育てていく」と述べた。

気候環境省のA.モスクヴァ大臣は、原子力プログラム関係の投資により、ポーランドではGDPの約1%に相当する大きな経済成長が見込めると指摘。その上で、「初号機建設費用の少なくとも40%に国内企業が関わる見通しで、この金額はそれ以降の原子炉建設でさらに増加する」と述べており、プログラムが進展するにつれ、国内エンジニアがさらに必要になるとの見通しを示した。

同省の調べによると、ポーランドではすでに約80社の国内企業が、世界中の原子炉ベンダーに原子力関連サービスを提供中。さらに300社が、ポーランドの原子力プログラムに沿って、サプライチェーンに加わる準備を整えている。

(参照資料:PEJワルシャワ工科大の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA87日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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