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ウクライナ VVER-440にWH社製燃料を初装荷

12 Sep 2023

WH社製燃料の装荷記念式 ©Energoatom

ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は910日、国内で稼働する全15基のロシア型PWRVVER)のうち、44kW級のVVER(VVER-440)であるリウネ原子力発電所12号機に、初めて米ウェスチングハウス(WH)社製の燃料を装荷した。

ウクライナ・エネルギー省のハルシチェンコ大臣は、「ロシアによるVVER燃料市場の独占が終了する歴史的な日になった」と指摘。ウクライナは燃料調達先を多様化するため、20209月にV.ゼレンスキー大統領立ち会いの下で両機用燃料集合体の供給契約をロシアによる軍事侵攻以前に結んでいた。

ウクライナでは、2000年代に複数回にわたりロシア産天然ガスの供給が停止されたほか、2014年にはクリミア半島が強制併合されたことなどから、ロシア離れが加速。100kWVVER(VVER-1000)である13基の原子炉については、米国とウクライナの政府間協力合意に基づいてWH社が2001年に専用燃料の設計を開始した。2005年に最初のWH社製「先行試験用燃料集合体(LTA)」がウクライナの南ウクライナ3号機(VVER-1000100kW)に装荷されて以降、WH社および同社からライセンスを受けた国内での燃料製造により、ロシア製燃料からの切り替えが進んでいる。

今回、リウネ12号機へのWH社製燃料の装荷に際し、エネルゴアトム社は記念式典を開催。ウクライナのH.ハルシチェンコ・エネ相とエネルゴアトム社のP.コティン総裁のほか、WH社の燃料製造工場が立地するスウェーデンの駐ウクライナ特命全権大使やリウネ地区の軍事行政局長、リウネ原子力発電所長などがWH社幹部とともに出席した。

エネルゴアトム社によると、ロシアの軍事侵攻が始まった際、同社はVVER-440用燃料の開発製造を加速するようWH社に要請。WH社側は、エネルゴアトム社からエンジニアリング関係のサポートを受けながら、通常67年かかる燃料開発を1年半で完了させた。

エネルゴアトム社のP.コティン総裁は、「今後はロシアからの燃料サービスへの依存から脱却し、米国製燃料に切り替える」と断言、将来的にはWH社の技術を使って国内製造することを計画中だと述べた。WH社のP.フラグマン社長兼CEOは、「ウクライナのみならず欧州でVVERを運転するその他の国々も、ロシアの燃料市場支配から完全に開放される」と強調している。

(参照資料:エネルゴアトム社ウクライナ政府(ウクライナ語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA911日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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