韓国の現代E&C ポーランドの建設協会らと協力合意
19 Sep 2023
現代E&C社とPZPBの協力覚書締結式 ©Hyundai Engineering & Construction
韓国の現代E&C(現代建設)社は9月12日、ポーランドでの新規原子力発電所建設プロジェクト推進に向け、ポーランドの建設産業雇用者協会(PZPB)や国立原子力研究センター(NCBJ)などと協力覚書を締結した。
ポーランドの様々な関係機関や企業と協力ネットワークを構築することで、ポーランドのみならず東欧全体で原子力などエネルギー・インフラの分野に進出していく方針。PZPBと結んだ「新規原子力事業協力のための了解覚書」では、ポーランドの建設関係政策や業界動向といった現地情報を入手し、技術面での交流を深める考えだ。
同覚書は、ポーランド南部のクリニツァで開催されていた経済フォーラムへの、韓国官民合同使節団参加にともない、首都ワルシャワで締結された。調印は現代E&C社のユン・ヨンジュン社長兼CEOとPZPBのD.カジミエラク副会長が行った。
NCBJとの「原子力発電所の研究開発と研究炉協力に関する了解覚書」も同じ日に結ばれており、両者は原子力発電所と研究炉分野の協力に加えて、原子力技術とその安全性、人材交流など全般的な協力体制の構築で合意している。
これらを通じて現代E&C社はポーランドの原子力市場に参入する一方、同国の大手建設企業であるERBUD社およびUNIBEP社とも、新しい再エネ、新空港や都心インフラの整備、スマートシティ分野で協力するための業務契約を締結した。関係報道によるとUNIBEP社は、原子力プロジェクトについても現代E&C社と協力する意向を表明。現代E&C社はこれらの企業との連携協力に際し、東欧への進出の拠点となる現地事務所の設立もワルシャワで進めている。
現代E&C社は、韓国で数多くの原子力発電所建設に携わった実績があり、アラブ首長国連邦(UAE)への大型原子炉の初輸出事業にも参加。これらに基づき、小型モジュール炉(SMR)開発や原子力発電所の廃止措置、使用済燃料の中間貯蔵施設建設など、原子力関係の全事業分野に対応・管理する能力の獲得を目指しており、世界的な原子力発電設備メーカーと戦略的な協力体制を固めている。
放射性廃棄物の貯蔵設備やSMRを開発している米ホルテック・インターナショナル社とは特に、2021年11月に事業協力契約を締結しており、同社の主要EPC(設計・調達・建設)契約企業としてホルテック社製SMR「SMR-160」の商業化に向けた標準モデルの完成に協力。今年4月には、韓国の政府系輸出信用機関である韓国貿易保険公社(K-SURE)と韓国輸出入銀行(KEXIM)がそれぞれ、現代E&C社とホルテック社の企業チームと個別に協力協定を締結している。
今回のポーランド訪問を通じて現代E&C社は、ポーランドに経済的発展のポテンシャルを確認。両国間の相互交流を促進してポーランドのエネルギー・インフラ拡充に寄与するとともに、民間レベルの連携協力を強化して実質的な成果を上げたい考えだ。
ポーランドは政府の原子力プログラムとして、国内の複数のサイトで2043年までに100万kW級の原子炉を最大6基、合計600万~900万kW建設することを計画。2022年11月には最初の3基、小計375万kW分の採用炉型として、米ウェスチングハウス(WH)社製PWRのAP1000を選定した。同国ではこのほか、政府のこのプログラムを補完する計画として、PGEグループとエネルギー企業のZE PAK社が韓国水力・原子力会社(KHNP)などとの協力により、中央部ポントヌフで韓国製「改良型加圧水型炉(APR1400)」の建設に向けた活動を進めている。
(参照資料:現代E&C社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)