ポーランド政府 ポントヌフの韓国製大型炉建設計画にDIP発給
28 Nov 2023
ポーランドの気候環境省は11月24日、ポーランド国営エネルギー・グループ(PGE)傘下のPGE PAK原子力エネルギー(PGE PAK Energia Jądrowa)社が同国中央部ポントヌフのコニン地区で計画している韓国製大型炉の建設プロジェクトに対し、原則決定(decision-in-principle=DIP)を発給した。
PGE PAK原子力エネルギー社に50%ずつ出資しているPGE社と同国のエネルギー企業ZE PAK社が、同日付で明らかにした。DIPは原子力発電所建設計画に対する最初の基本的な行政判断で、DIP発給により同プロジェクトは、国家のエネルギー政策に則し、国民の利益に適うと正式に認められたことになる。
このポントヌフ・プロジェクトは韓国水力・原子力会社(KHNP)との協力で進められており、プロジェクト企業として今年4月に設立されたPGE PAK原子力エネルギー社は、6月に気候環境省にDIPを申請していた。今後は韓国製「APR1400」(PWR、出力140万kW×2基)の建設に向けて、実行可能性調査の実施準備やコニン地区における環境面などの調査、資金調達面の協議などを実施する。
PGE社によると今回のDIPは、2022年10月の韓国・ポーランド両政府の計画支援了解覚書、またPGE社とZE PAK社およびKHNP社の「企業間協力意向書(LOI)」から13か月経たずに発給された。大規模な投資計画では異例の速さだが、これにより2035年までにポントヌフで初号機を完成させることが現実味を帯びてきた。同社は2基のAPR1400で年間220億kWh発電することを計画しており、これはポーランドの総電力需要の約12%に相当する。
ポーランドではこのほか、2021年2月に内閣が決定した「2040年までのエネルギー政策」に基づき、100万kW級の大型原子炉を2043年までに6基、合計600万~900万kW建設するプログラムを並行して進めている。2022年11月に政府は最初の3基、小計375万kW分の採用炉型として、米ウェスチングハウス(WH)社製PWRのAP1000を選定。PGE社傘下の原子力事業会社であるPEJ社は、北部ポモージェ県で3基のAP1000を建設する計画について、今年7月に気候環境省からDIPを取得している。
ポントヌフにおけるプロジェクトは、政府の原子力プログラムを補完すると位置付けられており、副首相を兼任する国有資産省のJ.サシン大臣は今回、「ポントヌフのプロジェクトはクリーンで安価な電力を安定的に供給する点から政府政策に完璧に適合するものであり、DIPの発給はそれを裏付けている」と指摘。同計画が円滑に進展することを期待していると述べた。
ポーランドではこのほか、鉱業大手のKGHM銅採掘会社が米ニュースケール・パワー社製の小型モジュール炉(SMR)を6基備えた発電設備「VOYGR-6」の建設を計画している。また化学・石油合弁企業のオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は米GE日立・ニュクリアエナジー社製のSMR「BWRX-300」を国内6地点で計画。今年4月にそれぞれDIPを気候環境省に申請しており、同省は7月にKGHM銅採掘会社の計画に対しDIPを交付している。
(参照資料:PGE社、ZE PAK社の発表資料(ともにポーランド語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)