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X-エナジー社製SMR 事前審査の第2段階クリア

24 Jan 2024

桜井久子

Xe-100の概念図 ©X-Energy

米国のX-エナジー社は117日、カナダ原子力安全委員会(CNSC)が同社の小型モジュール炉(SMR)「Xe-100」(出力8kW)に対し実施している「ベンダー設計審査(VDR)」で主要部分の第1、第2段階が完了したことを発表した。

CNSC19の審査分野についてXエナジー社が提出した400以上の技術文書を評価した結果、「Xe-100」の正式な許認可審査の際に根本的障害となるような課題は認められず、カナダの原子力発電所に対するCNSCの要求事項の意図をXエナジー社が正しく理解していると結論づけた

X-エナジー社のC.セルCEOは、「事前審査の第2段階の完了は、Xe-100建設の規制上および商業上の準備が整っていることを示すものであり、当社の先進的な高温ガス炉技術をカナダ市場に展開するにあたり、正式な許認可申請への自信が強まった」と語る。

CNSCによるXe-100VDRは、審査プロセスの最初の2段階について20207月に開始された。VDRはベンダーの要請に基づき、CNSCが提供している任意の設計評価サービスで、2つの段階の審査を同時に進めることは可能。VDRは、設計段階において、潜在的な規制上や技術上の問題点、特に設計の大幅な変更につながる可能性のある重要課題を特定し、早期にフィードバックをすることを目的とする。審査の過程で得られたフィードバックは、最終段階のVDRCNSCへの提出書類に反映される。

なお、CNSCによる審査の過程で、X-エナジー社がCNSCの規制要件を厳格に順守するために、さらなる対応が必要な技術分野がいくつか指摘された。Xエナジー社は最終段階にあたる第3(フォローアップ)段階で、これら指摘事項についてCNSCに更なる情報を求めながら詳細に検討を加え、建設に向けた設計の具体化で追加の策を講じ、CNSCの評価を仰ぐとしている。X-エナジー社は、VDRの第3段階の実施に向け、今後もCNSCと緊密に協力していく意向を表明している。

4世代の原子炉に属する「Xe-100」はペブルベッド式小型高温ガス炉(HTGR)で4基連結して32kWの発電容量に拡張が可能。海水脱塩や水素生産などの幅広い分野に適用が可能だ。燃料には、X-エナジー社独自のTRISO-X3重被覆層・粒子燃料)を使用する。米国の大手化学メーカーであるダウ・ケミカル社は、テキサス州のメキシコ湾沿いに位置するシードリフト市にXe-1004基連結した発電所の建設を計画している。X-エナジー社の100%子会社であるTRISO-X社は、テネシー州オークリッジの「ホライズンセンター産業パーク」内で商業規模の「TRISO-X燃料製造施設(TF3)」を建設中だ。Xe-100の初号機とTF3は、米エネルギー省(DOE)の「先進的原子炉設計実証プログラム(ARDP)」の支援対象となっている。また、Xエナジー社は、米国北西部ワシントン州にあるコロンビア原子力発電所(BWR121.1kW)の隣接区域に最大12基のXe-100を設置するため、同州の電気事業者であるエナジー・ノースウエスト社と共同開発合意書に調印している。

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