原子力産業新聞

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「長期脱炭素電源オークション」の応札が開始

24 Jan 2024

石川公一

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は1月24日、脱炭素電源への新規投資を促進する新たな入札制度「長期脱炭素電源オークション」の初回応札を開始した。

「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、資源エネルギー庁による検討を経て、今年度、創設されたもので、水力、火力、原子力、地熱、バイオマスの各電源について、新設・リプレースを対象に、巨額の初期投資額を含む固定費相当の容量収入を、原則20年間にわたり担保することで、「長期的な収入の予見可能性を付与する」のが主なねらい。今回、総計400万kWの募集が行われる。現状、約1.2億kWの化石電源をすべて脱炭素電源に置き換える場合、年平均600万kW程度の導入が必要だが、今後のイノベーション導入なども見通し、まずは小規模でのスタートとなった。

2023年4月に行われた原子力関係閣僚会議で、「GX実現に向けた基本方針」(同年2月閣議決定)を踏まえた「今後の原子力政策の方向性と行動指針」が取りまとめられ、その中で、原子力をめぐる事業環境整備の一例として、「長期脱炭素電源オークション」の枠組み活用も提示された。その後、総合資源エネルギー調査会の電力・ガス基本政策小委員会での検討、GX脱炭素電源法の成立を経て、7月に行われた同調査会原子力小委員会では、「同制度において、既設原子力プラントの安全対策投資の扱いについて整理されていない」との問題意識から、さらに検討を深めていく方向性が示されている。原子力発電の安全対策工事に関し、「これまで行われてきた投資も対象となるのか」といった意見もあり、今後、同制度における取扱いが注目される。

1月22日に行われた電力・ガス基本政策小委員会では、直近の電力需給や、電力システム改革の検証に向け供給力確保の課題が示されたほか、「長期脱炭素電源オークション」の対象に原子力を含むことに関して、政策的な裏付けの必要性などが指摘された。

同オークションは、1月30日まで応募を受付け。落札電源の応札価格が約定価格となる「マルチプライス方式」を採用。3か月後を目途に結果を公表する。

OCCTOでは、「長期脱炭素電源オークション」について、制度の概要やポイントを説明したスペシャルサイトを開設し情報発信に努めている。

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