原子力産業新聞

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岸田首相施政方針演説 原子力活用を明言

30 Jan 2024

石川公一

施政方針演説を行う岸田首相(参院)

通常国会(1月26日~6月23日)の開会に際し、岸田文雄首相は1月30日、衆参両院で施政方針演説を行った。

演説の冒頭、岸田首相は、元旦に発生した能登半島地震による犠牲者への哀悼の意を表するとともに、不便な生活を強いられている被災者に対し見舞いの言葉を述べた上で、特に、半島特有の道路事情による交通網の寸断や津波被害に伴う海上輸送への影響も懸念し、救命活動やインフラ復旧に当たっている関係者に対し謝意を表した。

エネルギー・環境保全の関連では、「脱炭素と経済成長の両立を図るGXを進めていく」と強調。GX経済移行債20兆円を活用し、産業・暮らし・エネルギーの各分野での投資を加速する意向を表明した。原子力発電については、「脱炭素と安定供給に向けた有効な手段の一つとして、安全最優先で引き続き活用を進めていく」と明言している。

科学技術政策に関しては、「産業構造転換のカギであり、未来を切り開く礎」との認識のもと、「長期的ビジョンをもった国家戦略を策定する」と強調。20日に達成された宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸を踏まえ、日本の宇宙開発技術の躍進に期待を寄せたほか、バイオ、量子、核融合エネルギーなどの技術開発についても、「中長期的姿勢をもって取り組み、投資促進・規制改革を進めていく」と述べた。

また、「福島の復興は政権の最重要課題」との姿勢をあらためて示し、中国などによる日本産水産物の輸入停止に関しては、「即時撤廃を求めるとともに、影響を受ける水産物の国内需要拡大、新たな輸出先の開拓、国内での加工体制の強化を着実に進めていく」と述べた。

核軍縮に関しては、北朝鮮による核開発の動きに懸念を示した上で、昨年のG7広島サミットにおける成果も踏まえ、「広島アクションプランのもと、核兵器のない世界に向け、現実的で実践的な取組を強化していく」と強調した。

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