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米ホルテック社 原子力と太陽熱のハイブリッドシステムを発表

13 Feb 2024

桜井久子

「SMR-300」プラントの完成予想図
©Holtec International

米国のホルテック・インターナショナル社は131日、原子力と太陽熱の利点を組み合わせた新たな発電システムを発表した。

この原子力・太陽熱複合発電プラント(CNSP)は、同社の小型モジュール炉「SMR-300」、太陽熱利用システム「HI-THERM HSP」、エネルギー貯蔵システム「グリーンボイラー」を搭載。ホルテック社によると、CNSPは「太陽熱発電の欠点である間欠性を解消しながら、ベースロードまたは負荷追従対応で電力を供給する」ことができるという。

ホルテック社が開発する小型モジュール炉(SMR)「SMR-300」は電気出力約30kWPWRで、熱電併給が可能。万が一の事故時には外部電源や冷却材の供給なしで炉心冷却が可能な受動的安全系を備えている。

原子炉からの蒸気と太陽熱利用システムからの熱は、熱エネルギー貯蔵装置であるグリーンボイラーで結合される。
グリーンボイラーは、
1.  大量の熱を貯蔵し、
2.  太陽熱集熱器から高温の熱を受け取り、
3.  蒸気の生成と過熱により、タービンを駆動する、
という3つの機能を備えた設備である。

CNSPは単独の原子力発電所よりも熱力学的効率はかなり高く、太陽熱はベースロード電源の不可欠な要素となる。またCNSPは、再生可能エネルギーのアキレス腱であるバッテリーを一切使用していない。同社は、CNSPの運転寿命は60年を超えると予測している。

CNSPは、十分なサイト面積を持つ旧石炭火力サイトへの設置が最適とされており、既存インフラの活用によりコストを最小限に抑えるという。

ホルテック社は、主に日射量が十分にある国・地域へCNSPの展開を想定している。赤道直下や亜熱帯の地域では、1エーカー(約4,047m2)あたり8,000kWhもの太陽熱を得ることができ、既存技術よりもかなり効率的だという。同社のK.シン社長兼CEOは、「原子力と太陽熱の組み合わせを実現したCNSPは、化石燃料からの脱却を目指す国々にとってエネルギー問題の確かな解決策になると確信している」と期待を寄せている。

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