米オクロの「オーロラ」建設計画が進展
14 Feb 2024
オハイオ州パイクトンにある米DOEの旧ウラン濃縮施設サイト ©️Oklo
先進的原子炉開発を進めている米国のオクロ社は2月1日、「オハイオ州南部の多様化イニシアチブ(SODI)」と土地権利契約を締結、土地購入のオプションと優先交渉権を獲得したことを明らかにした。
オクロ社は2023年5月、同社製マイクロ高速炉「オーロラ(Aurora)」の建設サイトとしてオハイオ州南部を選定、同地域の4郡で構成されるSODIと土地利用に関する拘束力のない合意文書を交わしている。今回の土地権利契約締結は、クリーンで信頼性が高く、手頃な価格でエネルギー供給を目指すオクロ社にとって大きな前進であり、同社は同地域を、米国原子力産業界の将来を担う重要ハブとする考えだ。
SODIの4郡のうち、パイク郡には、2001年まで米エネルギー省(DOE)のポーツマス・ガス拡散法ウラン濃縮施設が稼働しており、SODIは同サイトの未使用の土地や施設の再利用を通じ、4郡の市民生活向上を目指している。
また、オクロ社は1月31日、DOEがアイダホ国立研究所(INL)敷地内にあるオーロラ燃料製造施設の安全設計戦略(SDS)を審査・承認したと発表した。オーロラ燃料製造施設では、閉鎖された高速実験炉EBR-Ⅱの使用済み燃料から回収したウランを再利用し、HALEU燃料[1]U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウランを製造する。
「オーロラ」はHALEU燃料を使用する液体金属高速炉のマイクロ原子炉で、電気出力は0.15~5万kW。少なくとも20年間、燃料交換なしで熱電併給が可能なほか、放射性廃棄物をクリーン・エネルギーに転換することもできる。DOEは2019年12月、先進的原子力技術の商業化を支援するイニシアチブ「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」の一環として、INL敷地内で「オーロラ」の建設を許可。これを受けてオクロ社は翌2020年3月、原子力規制委員会(NRC)に「オーロラ」初号機の建設・運転一括認可(COL)を申請したが、NRCは、審査の主要トピックスに関する情報がオクロ社から十分に得られないとして、2022年1月に同社の申請を却下した。オクロ社は同年9月、「オーロラ」の将来的な許認可手続きが効率的かつ効果的に進められるよう、NRCとの事前協議を提案する「許認可プロジェクト計画(LPP)」をNRCに提出している。
脚注
↑1 | U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン |
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