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スロベニアのSMR導入 米国が支援

19 Feb 2024

大野 薫

©駐米ウクライナ大使館

J. ハープートリアン駐スロベニア米国大使は2月6日、小型モジュール炉(SMR)の国内建設を検討しているスロベニアに対し、米国がSMRの実行可能性調査(F/S)や技術支援などに資金提供を行うとした書簡をスロベニアのT. セルセン環境・気候・エネルギー省副大臣に手交した。

今回の決定は、米国が主導する石炭火力発電所からSMRによる原子力への転換プログラムである「プロジェクト・フェニックス(Project Phoenix)」の一環。スロベニアは2023年6月、環境・気候・エネルギー省が中心となり、国内唯一のクルスコ原子力発電所(PWR×1基、72.7万kW)を所有する国営電力のGENエネルギア社、国営スロベニア電力ホールディング(HSE)、コンサルティング企業のハッチ社などの協力を得て、同プロジェクトへの助成金申請を行っていた。これまでに、同プロジェクトの支援対象となっている国は、チェコ、スロバキア、ポーランド、ルーマニアの計4か国。

プロジェクト・フェニックスは、欧州での石炭火力発電所からSMRへの移行を加速させると同時に、プラント・スタッフの再訓練を通じて地元の雇用を維持する計画で、中・東欧諸国の脱炭素化とエネルギーセキュリティを支援するために、F/Sや技術支援などを米国が直接支援する。2022年11月、J. ケリー米気候問題担当大統領特使が、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で同プロジェクトを発表、米国務省の国際支援プログラム「SMR技術の責任ある活用に向けた基本インフラ(FIRST)」の下、安全性やセキュリティ、核不拡散の最高水準に基づいて、パートナー国の能力開発支援が行われる。また、国務省は、技術、コンサルティング支援に米エンジニアリング企業のサージェント&ランディ社(Sargent & Lundy, L.L.C.)をプロジェクトの実施パートナーとして選定している。

今回の米国の決定について、セルセン副大臣は、「プロジェクト・フェニックスへの参加は、スロベニアの国家エネルギー・気候計画の国際公約遵守に向けた取組に資するもの」として歓迎している。なお、欧州委員会(EC)の資料によると、2021年のスロベニアの電源構成は、再生可能エネルギー(バイオマス等含む)38%、原子力37%、化石燃料23%、天然ガス2%となっている。

スロベニアは現在、既存のクルスコ原子力発電所の隣接サイトで最大240万kWの原子炉増設を計画中(JEKプロジェクト)。JEKプロジェクトをめぐっては、増設の是非を問う国民投票が今年後半にも実施される予定である。

一方、既にプロジェクト・フェニックスの助成対象に選ばれているスロバキアのスロバキア電力(SE)は14日、サージェント&ランディ社のスタッフが同国を訪問し、F/S実施に向けた初期の現地調査を開始したことを明らかにした。スロバキア電力によると、2025年までにF/Sを終え、2029年までに環境影響評価(EIA)を含むSMRの初期設計と許認可手続きを完了し、2035年の運転開始をめざしている。

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