中国 SMRの建設進む
22 Feb 2024
ACP100(玲龍一号) ©CNNC
中国核工業集団(CNNC)は2月6日、中国海南省の昌江原子力発電所サイトで建設中の小型モジュール炉(SMR)「ACP100」(PWR、12.5万kW)で、格納容器の外側ドーム屋根の設置を完了した。
SMRの実証プロジェクトである「ACP100」の別名は玲龍一号。原子炉建屋は、内部構造物、鋼製格納容器、コンクリート製遮蔽シェル外壁の3つの部分で構成されている。鋼製格納容器のドームは昨年11月に設置された。2月6日、重量550トンのドーム屋根の吊上げと設置作業は、1時間半ほどで完了した。CNNCによると、このACP100プロジェクトには6,000名が作業に従事。ドーム屋根の設置は原子炉建屋の主要構造物の据付完了を意味し、後続のモジュール炉開発に貴重なノウハウを残すという。
CNNCは2019年7月、昌江サイトで今回のACP100×1基の建設プロジェクト開始を発表。同サイトでは1、2号機(PWR、各CNP-600、65万kW)が運転中。3、4号機(PWR、HPR1000(華龍一号)、各120万kW)が各々、2021年3月、12月に着工し、両機とも2026年末までに営業運転を開始する予定だ。
ACP100へのコンクリート打設は2021年7月13日に開始され、予定工期は58か月。機器据付は2022年12月に開始、主要な炉内構造物の据付は昨年3月に完了している。なお、ACP100の開発は2010年に開始され、予備設計は2014年に完了、2016年にIAEAの安全審査をパスした初のSMRである。
ACP100が完成すると、世界初の陸上型SMRとなり、年間10億kWhを発電し、年間88万トンのCO2排出を削減するという。ACP100は発電の他、熱供給、蒸気生産、海水淡水化の用途を持ち、安全性の高い分散型クリーンエネルギー源として、町や工業地域の隣接地での設置が可能である。CNNCは、ACP100をHPR1000の成功に続く、中国の原子力技術革新における重要な成果と考えており、世界市場への展開を視野にいれている。中国製HPR1000はパキスタンのカラチ発電所2、3号機(各110万kW)で運転中、チャシュマ発電所5号機で計画中の他、アルゼンチンのアトーチャ発電所3号機でも計画中である。
ACP100の所有者・運転者はCNNC傘下の中国核能電力股份(CNNP)で、炉設計は中国核動力研究設計院(NPIC)、建設は中国核電工程(CNPE)等が担当。炉容器は上海電気集団(SEC)、蒸気発生器はCNNC傘下企業、他炉内構造物は中国東方電気集団(DEC)が供給している。