米国 HALEU製造計画が一時減速
27 Feb 2024
HALEU燃料の製造用カスケード ©Centrus Energy
米国のウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社:USEC)は2月8日、HALEU燃料[1]U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウランを収納するシリンダーの一時的不足により、米エネルギー省(DOE)との契約の第2段階で予定していた900kgのHALEU燃料の年内納入は不可能との見通しを示した。DOEは契約上、製造されたHALEU燃料収納のための貯蔵用シリンダーを提供する必要があった。
2023年第4四半期および通期決算報告の中で明らかにしたもので、同社の発表によると、DOEは、「サプライチェーンの問題により、必要な5B型シリンダーの確保が困難になっている」という。5B型シリンダー入手の遅れは一時的なものであるが、契約どおりの本年11月までには当初予想されていた900kgのHALEU燃料のDOEへの納入は困難との見方を示した。
B型シリンダーは、濃縮ウランを含む燃料のガンマ線と中性子線からの遮蔽維持が可能な規制当局認定のキャスク。30B型シリンダーは、低濃縮ウランを燃料加工業者に輸送するために使用されるが、5%以上の濃縮ウランであるHALEU燃料には使用できない。
セントラス社は昨年11月、オハイオ州パイクトンのポーツマス・サイトにある米国遠心分離濃縮プラント(ACP)で製造された20kgのHALEU燃料をDOEに初納入し、2022年に締結されたコストシェア[2]総費用を折半して支払う。契約である第1段階を予算内かつ予定より早く終了した。その後、同社は第2段階のコスト・プラス・インセンティブ・フィー[3] … Continue reading契約である年間900kgのHALEU燃料製造に移行した。
これら契約は、次世代原子炉用の先進燃料であるHALEU燃料を確保し、米国内のHALEU燃料のサプライチェーン構築を目的とするDOEの取り組みの一環である。製造されたHALEU燃料はサイト内の特設貯蔵施設に保管される。
パイクトンでは、ポーツマス濃縮工場が1954年から2001年まで操業。当初は国の核兵器開発で濃縮ウラン製造のために建設されたが、1960年代に入り、商業的な用途に重点が置かれ、主に原子力発電所向けの濃縮ウランを供給した。冷戦終結後の1991年、兵器級ウラン濃縮は停止、1993年に濃縮施設はDOEからUSECにリースされたが、2001年に濃縮事業は中止された。USECは2014年に破産後、セントラス・エナジー社として再出発した。2019年のDOE原子力局との契約に基づき、同社はHALEU燃料製造を実証するため、ACPに新型遠心分離機「AC100M」16台連結の新しいカスケードを建設、昨年10月に濃縮役務を開始した。