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インド カクラパー4号機が送電開始

04 Mar 2024

桜井久子

モディ首相(右)がカクラパー発電所を訪問。
DAEのモハンティ長官(左)
NPCILのパトサック会長(中央) ©DAE

インドで建設中のカクラパー原子力発電所4号機(PHWR70kW)が220日、送電網に接続し、送電を開始した。同機は1217日に初臨界を達成している。

クラパー4号機は29日、原子力規制委員会(AERB)から試運転許可を得て、出力を段階的に上昇させ、送電開始に至った。インド原子力発電公社(NPCIL)は、計16基の70kW級国産加圧重水炉(PHWR)建設プロジェクトを掲げているが、1基目となるカクラパー3号機は、昨年6月末に営業運転を開始。4号機はこれに次いで2基目となる。同発電所では、12号機(各PHWR22kW)が1990年代前半から運転中である。

N.モディ首相は222日、同発電所を訪問し、「21世紀にはインドの発電部門における原子力の役割は増大するが、この先進的な国産PHWRにより『自立したインド』を示せることは誇りである」と述べた。

インドでは現在23基、計748kWの原子力発電所が運転中であるが、大部分は出力の小さい国産PHWRで、これらPHWRの内、最大出力であるのがカクラパー3号機である。カクラパー4号機の他、NPCILが建設する8基(PHWR×4基、VVER-1000×4基、計680kW)と原子力省(DAE)傘下のBHAVINI社が建設する高速増殖原型炉(PFBR)の1基(50kW)の計10基が建設中。さらに、インド政府は慢性的な電力不足の解消と国内原子力産業の急速な発展を促すため、2017年5月、国内の4サイトで新たに10基の70kWPHWRを建設する計画を原則承認した。それらは、南西部カルナタカ州のカイガ原子力発電所56号機、北部ハリヤナ州のゴラクプール34号機、中央部マディヤ・プラデシュ州のチャッカ12号機、および北部ラジャスタン州のマヒ・バンスワラ14号機である。現時点ですべて行政手続き上の承認と財政的な認可を受けており、建設前のサイト整備や長納期機器の調達が進行中。いずれも2031年~2032年頃の完成を目指している。なお、インド政府で原子力や科学技術を担当するJ.シン閣外専管大臣による昨年8月の下院議会への答弁書によると、DAE2031年までに原子力発電設備容量を2,248kWに増強する目標を設定している。2047年までに総発電量に占める原子力シェアは、現在の約3%から9%近くまで増大すると予想する。

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