原子力産業新聞

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京都フュージョニアリングと筑波大が共同研究 ミラー型装置で

12 Mar 2024

石川公一

筑波大学プラズマ研究センターの「GAMMA10」

京都フュージョニアリングは3月12日、筑波大学とプラズマ加熱に関する特別共同研究契約を締結したと発表した。核融合エネルギーの早期実現を目指すもの。〈発表資料は こちら

同社は、京都大学発のベンチャー企業で、核融合反応を起こすために必要なプラズマ加熱システム「ジャイロトロン」の開発・販売を主力事業の一つとしている。核融合発電試験プラント「UNITY」の建設を目指し、昨秋には、京都府久御山町に自社研究開発施設「京都リサーチセンター」を開設。海外との連携意欲も旺盛で、北米企業・研究機関との受注契約や協力覚書締結に続き、2月には、英国原子力公社(UKAEA)とトカマク型炉のブランケット設計に係る技術開発に共同で取り組むべく包括協定を締結している。

核融合反応でカギとなるプラズマ閉じ込め方式は、ITER(国際熱核融合実験炉)計画で採用されるトカマク型の他、ヘリカル型、ミラー型、レーザー方式があり、今回、同社が特別共同研究契約を締結した筑波大は、その中で、ミラー型の世界最大級となるプラズマ閉じ込め装置「GAMMA-10」を保有。「GAMMA-10」では、核融合反応に不可欠な超高温プラズマの持続方法などを検証することができ、プラズマ加熱に関する様々な試験を行う。今後、両者は、低周波ジャイロトロンにおける連続動作の実証や高出力化の開発などを通じ、プラズマ加熱に関する技術成熟度の向上を目指す。

なお、昨今、政府による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」(2023年4月統合イノベーション戦略推進会議決定)を受け、国内民間企業による核融合エネルギー実用化に向けた海外投資の動きも顕著だ。3月7日には、伊藤忠商事が、米国スタートアップ企業のブルー・レーザー・フュージョン(BLF)社と資本・業務提携を締結したと発表している。カリフォルニア州に本社を置くBLF社は、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が共同創業者として2022年に設立され、レーザー方式による核融合商用化を目指している。

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