オランダ AP1000導入に向けFS実施
13 Mar 2024
オランダ経済・気候政策省のM.ヘイドラ局長(左)WE社のE.ゲデオン上級副社長(右) ©Westinghouse
米ウェスチングハウス(WE)社は2月20日、オランダで運転中のボルセラ原子力発電所(PWR、51.2万kW)サイトに同社製AP1000×2基の増設に向けた実行可能性調査(FS)の実施契約をオランダ政府と締結した。
同契約は、オランダ経済・気候政策省(EZK)のM.ヘイドラ気候・エネルギー担当局長とWE社のエネルギーシステム事業担当のE.ゲデオン上級副社長によって調印された。
WE社は「FS実施は欧州連合(EU)の気候目標や2035年までにカーボンニュートラルの発電を目指すオランダの公約に沿ったものである。当社はオランダ政府を支援し、信頼性があり、かつ低コストなカーボンフリーの電力を今後数十年間にわたって提供したい」と語る。
2021年12月、オランダの新連立政権は連立合意文書に原子力発電所の新設を明記。また、政府は2022年12月、新設サイトとしてボルセラ・サイトが最適と発表している。計画では、2035年までに第3世代+(プラス)の原子炉、出力100万~165万kW×2基を新設し、オランダの総発電量の9~13%を供給するとしている。現在の原子力シェアは約3%である。
なお、オランダ経済・気候政策省は、昨年12月に韓国水力・原子力会社(KHNP)と、同様の実行可能性調査(FS)実施契約を締結。韓国の尹錫烈大統領がオランダ公式訪問時に締結された。オランダ政府は仏EDFとも同様の契約を結ぶ方針である。
また、同省は2基新設に向けた立地選定手続きの第一歩として、企業、団体、地方自治体などから、サイト等に関する提案募集を2月23日に開始した。締切は4月4日。同省によると、提案が条件を満たしている場合、今後、建設候補地として潜在的に適しているかどうかを調査するとしている。いずれにしても、既存の立地候補であるボルセラ/フリシンゲン(スロー地区)およびマースブラクテI(ロッテルダム港)の2か所については現在調査を進めている。また同時に、ステークホルダーや地域住民の今後のプロジェクト手続きへの関与についても意見を募集中。経済・気候政策省はこれらの国家の重要プロジェクトに係る手続きを慎重に行い、2025年に立地について閣議決定した後に、入札を開始するとしている。