原子力産業新聞

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ホルテック 英国でのSMR応札に向け韓国企業らと提携

19 Mar 2024

桜井久子

駐英韓国大使館における協力覚書の調印式
©Hyundai Engineering & Construction

米ホルテック・インターナショナル社傘下の英国法人ホルテック・ブリテン社は35日、韓国と英国の建設・エンジニアリング企業各社と、英政府招聘の小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトの入札参加に向けて協力覚書を締結した

ホルテック・ブリテン社が協力覚書を締結したのは、韓国の現代E&C(現代建設)社、英国を拠点とする建設会社のバルフォア・ビーティ社とエンジニアリング会社のモット・マクドナルド社。覚書の詳細は明らかにされていないが、ホルテック社が開発する「SMR-300」で英政府招聘の入札参加への協力体制を確立する。このパートナーシップは、昨年11月に英・韓両政府間で調印されたクリーンエネルギー・パートナーシップに基づくもので、協力覚書の調印式は、駐英韓国大使館で行われた。

英政府は、2050年までに原子力発電設備容量を2,400kWまで拡大する計画を発表しておりSMR導入も謳われている。新規建設の牽引役として昨年7月に発足した政府機関「大英原子力(Great British Nuclear=GBN)」がSMRの支援対象選定コンペを同月に開始。10月には、ホルテック・ブリテン社の他、仏EDF、米GE日立・ニュクリアエナジー社、米ニュースケール・パワー社、英ロールス・ロイスSMR社、米ウェスチングハウス(WE)英国法人が最終候補として発表され、近く、英政府招聘の入札に参加する予定だ。

なお、ホルテック・ブリテン社は202312月、「SMR-300」の包括的設計審査(GDA)の準備のために、英政府の「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund=FNEF)」から3,000万ポンド(約57億円)の補助金を交付されている。

SMR-300」は、米国と英国の現行の基準に基づくPWRがベースであり、単基出力は30kW(ネット)。既存炉のサイズウェルBや建設中のヒンクリー・ポイントCを含む新規炉で使用されるものと同様のPWR燃料を使用するため、既存のサプライチェーンの活用が可能。

ホルテック社は、同社のSMRが選定されれば、英国に工場を建設し主要なSMRコンポーネントを製造するほか、クリーンエネルギーならびに防衛部門におけるニーズへの支援も計画している。また、工場の稼働により2050年までに英国内で「SMR-300」を合計500kW程度導入するだけでなく、主要な輸出ハブとなることにより、英国の長期的な戦略的パートナーとして数千人の雇用を創出する考えだ。

ホルテック社グローバル・クリーン・エネルギー担当のR.スプリングマン社長は、「今回結成した世界クラスのチームは、『SMR-300』で英国のエネルギー安全保障戦略に有意義かつ確実に貢献する」と強調する。

現代E&C社のユン・ヨンジュンCEO兼社長は、「ホルテック社との強力なパートナーシップに基づき、英国トップクラスのバルフォア・ビーティ社とモット・マクドナルド社との協力も得てGBNSMRコンペを勝ち取り、プロジェクト実現と英国のネットゼロ達成への支援にさらに自信を持てる」と述べた。現代E&C社は、ホルテック・インターナショナル社と202111月に事業協力契約を締結しており、主要EPC(設計・調達・建設)契約企業としてホルテック社製「SMR-160」(出力16kW)等のグローバル展開に協力している。

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