英HPCプロジェクトの経済効果などで報告書
02 May 2024
©HPC
英EDFエナジー社は4月18日、「ヒンクリーポイントCの社会経済影響報告書2024」を公表。英国南西部のサマセット州で建設中のヒンクリー・ポイントC(HPC)原子力発電所プロジェクトにより、周辺地域の社会経済に好影響が出ていることが明らかになった。
同報告書によると、HPCプロジェクトでは、溶接、機械、電気、建設技能の訓練センター(Centers of Excellence)で7,885人が既に訓練を修了し、現在、1,307人が訓練を受けている。イングランド南西部と南ウェールズ出身が大半を占めているという。また、サービス、会計、プロジェクト管理、調査などの分野で、これまでに1,320人の人材が育成された。建設サイトでは23,500もの職が生み出され、地元の雇用成長は南西部全体の2倍となっている。また、近隣の町ブリッジウォーターでは、生産性が周辺の他の町よりも10%高くなったと言及している。
HPCの建設が進むにつれ、サマセット州、その周辺地域の住民の生活やビジネス展望を向上させるグリーン投資の力が数字に現れている。HPCプロジェクトは、何千人もの能力開発を行い、より高収入の雇用を確保している。地域経済は活性化しており、低成長、低生産性、低流動性という全国的な傾向とは逆行している。現在、HPCの溶接、電気、機械作業の訓練を受けている人々の約3分の1は、国内の最貧困地域の出身者であるという。
なお、訓練センターは、スキルに関するプロジェクトの主要パートナーであるブリッジウォーター&タントン・カレッジが、教育やスキル向上を目的とした2,400万ポンド(約46.7億円)の投資の一部で運営されている。同センターの存続期間中に3万人の訓練が実施される予定。サイトの近隣地域では中小企業の数が南西部のどこよりも増加しており、これまでに53億ポンド(約1.03兆円)が地域全体の経済に直接支出されている。HPCプロジェクトは、「より長期的な成長のための触媒であり、サマセットの経済に競争力を与え、より成熟した生産性の高い労働力を生み出すだろう」と報告書は結論付けている。
HPC社のS.クルックスCEOは、報告書の序文で、「HPCによるネットゼロ・エネルギーへの投資は、地域に対する100年にわたるコミットメントである。何千人もの能力開発と生活向上に役立ち、社会的好影響はこの先も長く続く」と強調した。
HPC発電所はEPR(PWR、172万kWe)×2基構成、2018年12月に着工し、1基目は当初2025年末までに運転の開始予定だったが、2022年2月に運開時期を2027年6月に修正、2023年1月には1号機が2030年頃の運開と修正し、建設予想コストを260億ポンド(約5兆円)から310億〜340億(約6兆~6.6兆円)ポンドに上方修正した。運転期間は最短でも60年を想定している。