SMRの商業化で加・韓企業が協力
15 May 2024
協力合意書調印式(左から右ヘ)KHNPのJ.ファンCEO、ARCカナダのW.ラベCEO、NBパワーのL.クラークCEO © ARC Clean Technology /X
米ARCクリーン・テクノロジー(ARC Clean Technology)のカナダ法人(ARC Canada)、カナダのニューブランズウィック・パワー(NBパワー)社、および韓国水力・原子力会社(KHNP)の3社は5月1日、ARC社製の小型モジュール炉(SMR)「ARC-100」のグローバル展開に向けたチーム協定の締結を目指し、3社間協力合意書に調印した。
3社は、2023年11月に締結した協力覚書(MOU)により、カナダ、韓国、米国、およびKHNPが事業展開する地域で、「ARC-100」の設計、建設、プロジェクト管理、試運転、運転、保守を含むプロジェクトへの参画を想定し、「ARC-100」の商業化に向けた協力の機会を模索してきた。今回の協力合意により、NBパワー社のポイントルプロー原子力発電所(Candu-600×1基、70.5万kWe)サイトでの「ARC-100」建設をはじめとして、「ARC-100」のグローバル展開への参画と投資の可能性についてワーキング・グループを結成して具体的に協議する。
2018年以来、ARC社とNBパワー社は、ナトリウム冷却高速炉「ARC-100」(10万~15万kWe)を共同開発してきた。NBパワー社は2023年6月、ポイントルプロー発電所サイトに「ARC-100」を1基建設するため、「サイト準備許可(LTPS)」をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請。2030年までに運開予定で、カナダ初の先進的SMRの導入となる見込みである。また、ニューブランズウィック(NB)州政府は2023年12月、「ARC-100」を含む合計60万kWeのSMRをポイントルプロー発電所に建設し、2035年までに同州の原子力発電設備容量を倍増する計画を表明している。
KHNPは、「i-SMR」(一体型PWR、17万kWe)を韓国原子力研究院(KAERI)と共同開発する一方で、第4世代SMR市場への参入を企図している。
なお、NB州における「ARC-100」導入は、同州を含むカナダの4州政府が2022年3月に発表した「小型モジュール炉(SMR)展開の戦略計画」の一部。「ARC-100」は現在、CNSCが実施する正式な許認可申請前の任意の設計評価サービス「ベンダー設計審査(VDR)」の第2段階(許認可上、障害となる点を特定)にある。