原子力産業新聞

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電事連 エネ基見直しに向け「重要な論点と期待事項」まとめる

27 May 2024

石川公一

電源ごとの実利用までに要するリードタイム

電気事業連合会は5月27日、エネルギー基本計画の見直しに向けて、電気事業者として考える「重要な論点と期待事項」をまとめた解説資料を作成し発表した。

現行のエネルギー基本計画は2021年に策定され、法令に定める3年後の見直し時期を間もなく迎えることから、5月15日に総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で改定に向けて検討が始まっている。

電事連の林欣吾会長(中部電力社長)は、17日の定例記者会見で、「エネルギー基本計画は、わが国のエネルギー政策の羅針盤となるものであり、国の経済と国民の暮らしを支える政策として、責任ある議論を丁寧に進めていく必要がある」との基本認識を示した上で、「重要な論点と期待事項」として、

  1. 将来の不確実性を見据えたシナリオ設定
  2. 安定供給とエネルギー安全保障の重要性の明確化
  3. 再生可能エネルギーの推進
  4. 原子力発電の活用の明確化
  5. 火力発電の維持・確保、脱炭素化の推進
  6. 電化の推進
  7. GX実現に向けた環境整備

――を掲げた。

27日に発表された解説資料は、その各項目に係る「背景と課題」、「今後求められる事項」を整理したもので、「将来の不確実性を見据えたシナリオ設定」に関しては、各電源の開発において各種調査・環境アセス、建設工事のリードタイムを考慮した上で、現実的な設備形成・電源構成につながるよう、将来の不確実性に備えた柔軟なシナリオ設定を求めている。

原子力に関しては、「国民理解が途上にあり、エネルギー政策における位置づけが不十分」、「再稼働が十分に進んでいない」、「投資・コスト回収の予見性が不十分」との課題を指摘。「今後求められる事項」として、

  • エネルギー安全保障に寄与する脱炭素電源として「最大限の活用」(再稼働や新増設・リプレース)の明確化
  • 投資・コスト回収促進につながる事業環境の整備やファイナンス支援等の制度措置の構築
  • 原子燃料サイクルを始めとするバックエンド事業における一定の国の関与
  • 適切な賠償を前提とした原子力損害賠償制度の見直し

――をあげている。

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