原子力産業新聞

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東京電力、福島第一廃炉で向こう10年の実行プラン示す

30 Mar 2020

東京電力は3月27日、福島第一原子力発電所廃炉に関わる2031年末頃までの主要な作業プロセスを示す「廃炉中長期実行プラン2020」を発表した。

福島第一原子力発電所の廃炉に向けては、2019年末に、原子力損害賠償・廃炉等支援機構による技術的提案を踏まえ、廃止措置終了までの期間について使用済み燃料プール内の燃料取り出しや燃料デブリ取り出し開始などのステップごとに区分し具体的対策を示した中長期ロードマップが改訂されている。「廃炉中長期実行プラン2020」は、この中長期ロードマップが掲げる目標を達成するための計画を、概ね10年程度を見据え、汚染水対策、使用済み燃料プール内の燃料取り出し、燃料デブリ取り出し、廃棄物対策について具体的取組を示したもので、今後の進捗に応じ毎年見直しが図られる見通し。その中で、現在進められている3号機の使用済み燃料プール内燃料取り出しは、2020年度内の完了を目指し、続く1、2号機の燃料取り出しについても、中長期ロードマップに従いそれぞれ2028年度、26年度までの開始に向けて、大型カバー、燃料取り出し用構台の設置を進めていくとされた。また、2021年内の開始を目指しまず2号機から着手する燃料デブリ取り出しに関しては、今後同機で得られる知見も踏まえ、炉内調査の進捗状況から引き続き3号機について検討を進め、1号機に展開していく。

福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は同日の記者会見で、4月からの組織改編も見据え、「『廃炉中長期実行プラン2020』を安全かつ着実に進めていく」と強調した。

また、東京電力は、同プランと合わせ、「復興と廃炉の両立に向けた福島の皆様へのお約束」も発表。3つのスローガンとして、「ひらく」、「つくる」、「やり遂げる」を掲げ、長期にわたる廃炉事業を通じて福島の復興に力を尽くす決意を示しており、小野氏は、「地元企業の方々と直接やり取りできるようにしたい」として、燃料デブリ取り出しに必要な設備の設計なども念頭に、今後の作業内容や要求される技術についてわかりやすく説明した資料を近くまとめる考えを述べた。

なお、東京電力は24日に、福島第一原子力発電所で発生する処理水の処分方法と風評被害対策に関し、資源エネルギー庁の委員会が12月に取りまとめた報告書を受け「検討素案」を発表。これに関し、小野氏は、同報告書が「現実的な方法」とする水蒸気放出と海洋放出について「資機材の準備や許認可など、実施には2年程度かかると思う」との見通しを示し、政府による方針決定後に詳細設計を詰めていくとしたほか、「情報を正確に発信するようコミュニケーションに努めていく」と、風評被害対策に着実に取り組んでいく考えを強調した。

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