原子力産業新聞

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EU VVER向け欧州製燃料の供給を加速

01 Jul 2024

桜井久子

フラマトム社製VVER 440燃料集合体の概念設計

仏フラマトム社は620日、欧州連合(EU)から資金拠出を受け、欧州で運転されているロシア型PWRであるVVER向け、100%欧州製燃料の開発と供給を加速することを発表した

フラマトム社は、44kWe級のVVER-440型炉用の燃料開発と供給に向け、EUの拠出金1,000万ユーロ(17.3億円)を受けて、欧州原子力共同体(ユーラトム)の研究トレーニングプログラム下で「Safe and Alternative VVER EuropeanSAVE)」プロジェクトを実施する。同プロジェクトはVVER-440を運転する、チェコ電力(ČEZ)、フィンランドのフォータム社、ハンガリーのパクシュ社、スロバキア電力などの電力会社を含む欧州の17の企業・機関が参加し、燃料供給リスクの低減をはかるのが目的。

フラマトム社のL.ガイフ上級執行副社長は今回のEUの資金拠出を歓迎し、「当社は、VVERを運転する欧州の原子力産業とエネルギー政策の両方を支援し、既存炉の安全で、信頼ある運転に貢献し、次世代燃料の開発に強く関与する。燃料の設計から製造、燃料部品のサプライチェーンをEU内に配置し、100%の欧州主権を実現できる唯一の燃料サプライヤーとして、VVERの燃料供給の多様化とエネルギーセキュリティの確保に貢献していく」と語った。

フラマトム社の取組に先行し、米ウェスチングハウス社は、ウクライナの原子炉も含め、EU域内で稼働するVVERの燃料を緊急に確保するため、3年計画の「Accelerated Program for Implementation of secure VVER fuel Supply(APIS)」を20231月から主導している。ロシアのウクライナ侵攻に起因するもので、VVER-440燃料の安全設計とVVER-1000向けの次世代燃料設計の開発などが目的だ。EUは2023年~25年までの「ユーラトム作業プログラム」を通じて1,000万ユーロ(17.3億円)を共同出資している。APISには、WE社のスウェーデンの燃料工場を幹事役とし、欧州の電力会社や燃料設計・製造研究機関など11の機関・企業が参加している。

現在、EU域内では18基のVVERが稼働しており、100kWe級のVVER-1000はブルガリアとチェコで各2基ずつ、VVER-440はチェコで4基、フィンランドで2基、ハンガリーで4基、スロバキアで4基の計14基が稼働中である。

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