原子力産業新聞

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ノルウェー 地方自治体でSMR導入への関心が拡大

22 Jul 2024

桜井久子

リュングダールにあるヴェルヴェン・ビジネスパーク。今後、サイト候補地として調査予定
©Verven Næringspark

ノルウェーの新興エネルギー企業ノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft)社は7月上旬、新たに国内3か所の自治体と、小型モジュール炉(SMR)の立地可能性調査に関する協力で合意した。

ノルスク社は78日、ノルウェー南部のアグデル(Agdel)県リュングダール(Lyngdal)自治体とSMR立地可能性を調査するため協力合意を締結した。リュングダールは、地域貿易の中心地であり、国内有数の産業や企業も多い。U. フソイ同自治体首長は「議会が全会一致で協力合意への締結に賛成した。産業界および消費者は、安定して、手頃な価格の電力供給を必要としている。土地の所有面積が少なく、温室効果ガスの排出が少ないエネルギー源である原子力に依存したい」と述べ、今後の調査への期待を示した。

なおノルスク社は、74日には、同アグデル(Agdel)県のファーサンド(Farsund)自治体とSMR立地の可能性に関する初期調査を共同で実施する協力合意を締結している。同自治体では、電力集約型産業やエンジニアリング産業などで、大量の電力需要が見込まれる。I.ウィリアムセン同自治体首長は「原子力発電所立地の可能性調査の実施について、ファーサンドの幅広い政治的多数の賛成を得た。ファースンが原子力発電の適地となれば喜ばしい」と語った。

また同社は、71日には、ノルウェー南西部のルーガラン(Rogaland)県ルンド(Lund)自治体と、原子力発電所立地に関する調査の協力合意を締結。同自治体では、持続可能な産業計画による電力需要の大幅増加が見込まれ、G. ヘレランド同自治体首長は「本合意により、SMR建設の適切なサイトの特定や影響評価の開始など、当自治体における原子力発電の実現に向けた一歩となりうる」と評価した。

ノルスク社は、ノルウェー国内の複数の自治体や電力集約型産業と連携したSMRの立地可能性調査を実施し、SMRの建設・運転を目指している。同社のJ. ヘストハンマルCEOは、SMRをノルウェー国内に大規模導入させたい考えだ。同CEOによると、国内では原子力発電導入に向けた調査に率先して取組む自治体の数が急速に増加しているという。また、ノルスク社が40%出資するハルデン・シャーナクラフト社がこのほど発表した報告によると、SMR×4基構成の発電所の発電電力量は、年間100kWhであり、これは、ノルウェーの総発電電力量の約7%に相当し、約400人もの雇用を生み出すという。

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