原子力産業新聞

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三菱重工 高浜1・2号機向けに炉内構造物の製造・取替工事を受注

30 Jul 2024

石川公一

三菱重工業は7月25日、関西電力高浜発電所1・2号機向けに、取替用炉内構造物2基の製造・取替工事を受注したと発表した。同日、関西電力は、原子力規制委員会に対し両機の炉内構造物取替計画に係る原子炉設置変更許可申請を行っており、それぞれ、2028年6~12月、2028年11月~29年4月に予定する定期検査で取替工事を実施する計画だ。〈三菱重工発表資料は こちら

炉内構造物は、原子炉容器の中で燃料集合体を保持する重要設備。全長約10m、外径約4m、重量約130トンのステンレス製で、燃料集合体を収納する下部炉心構造物(約89トン)と、それを上部から支持する上部炉心構造物(約44トン)で構成される。今回、製造する炉内構造物は、長期的な信頼性向上の観点から、海外において発生事例のあるボルト損傷への対策を施すなど、最新設計を取り入れ一体取替を実施。三菱重工神戸造船所で順次製造した後、現地で取替工事を行う。

特に高い安全性と信頼性が求められる炉内構造物は、大型構造物であるものの0.01mm単位での厳しい加工精度が要求され、高い設計・製造技術力と、原子炉容器に据え付ける際にも、高い精度で位置決めする施工技術力も求められる。

三菱重工が炉内構造物の一体取替工事を受注するのは、2021年に実施した関西電力美浜発電所3号機向けに続くもの。今回、世界で6、7例目となるが、これまでもすべて同社が手がけてきた。

高浜1・2号機、美浜3号機はいずれも、40年超運転に入っているプラントで、高浜1号機は今秋、運転開始から50年となる。長期的な信頼性確保の観点から、予防保全策として炉内構造物一式を取り替えることとなった。

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