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フィンランド 地域暖房用SMR建設に向けて前進

30 Jul 2024

桜井久子

LDR-50   ©Steady Energy

フィンランドの小型モジュール炉(SMR)開発企業であるステディ・エナジー(Steady Energy)社は718日、同国クオピオ市で2030年代初頭にSMRによる地域暖房用の熱供給の開始を目指す、地元自治体の電熱供給会社クオピオン・エネルギア(Kuopion Energia)社と事前準備の実施で合意した。期間は1年。

本合意により、クオピオン社は、ステディー社が開発する熱供給専用のSMRLDR-50」(5kWt)導入の最終投資決定(FID)に向け、SMR立地の適地を絞りこむ環境影響評価など具体的な作業を開始する。「LDR-50」により、クオピオ市の気候目標を達成し、地域暖房用に手頃な価格のエネルギーを提供したい考えだ。

ステディー社のSMRLDR-50」は直立した輸送コンテナほどの大きさで、地下の岩盤に建設される。都市景観への影響も限定的で住宅地の近くにも安全に設置できるという。建設期間は3年半と見込まれている。

2023年12月、ステディー社はクオピオン社と2030年以降に最大5基の地域暖房用SMRの建設オプションを含む基本合意書に署名。この合意に先立ち、同年10月には首都ヘルシンキ市のエネルギー会社ヘレン(Helen)社と、地域暖房用に最大10基のSMRを建設する基本合意書に調印している。

現在、クオピオン社が供給する地域暖房の半分以上は、バイオ燃料起源(主に木材)。木材は発電と地域暖房に使用する燃料の60%以上を占め、残りは泥炭である。

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