原子力産業新聞

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中国 寧徳5号機と石島湾1号機が着工

02 Aug 2024

深澤伊弦

着工した寧徳5号機 Ⓒ中国広核集団

7月28日、中国で新たに2基の原子力発電所が着工した。着工したのは、中国広核集団(CGN)が事業主体となる福建省の寧徳(Ningde5号機PWR108.9kW)、および中国華能集団(China HuanengCHNG)が事業主体となる山東省の石島湾(Shidaowan)1号機PWR115.0kW)の2基で、両機ともに中国が独自開発した第3世代PWR「華龍一号」(HPR1000)を採用している。今回の2基を合わせ、中国では2024年に入り、計5基(漳州Ⅱ-1、廉江2、徐大堡2、寧徳5、石島湾1)を着工した。 

寧徳原子力発電所ではすでに、第2世代のPWR設計「CPR-1000」を採用したⅠ期工事の1234号機がそれぞれ営業運転中で、1号機は20082月に着工、20134月に営業運転を開始した福建省初の原子力発電所。Ⅱ期工事となる56号機は、2023731日に国務院が建設を承認しており、6号機についても「華龍一号」を採用予定である。CGNによると、両機の1基あたりの年間発電量は約100kWhだという。

一方、石島湾1号機は、華能山東石島湾サイトにⅠ期工事として建設が開始されたもの。CHNGは同サイトに華龍一号を最終的に4基・計480kW2期に分けて建設する予定で、Ⅰ期工事にあたる12号機は2029年に完成、運開予定だ。 同サイトには、202312月に世界初の第4世代炉の小型モジュール炉(SMR)である華能山東石島湾(HTGRHTR-PM21.1kW)が営業運転を開始しており、20243月にはその原子炉熱を利用し、地域暖房プロジェクトが始動している。CHNGは、同サイトが第3世代炉と第4世代の先進原子力技術を同時に採用する一大拠点になると強調している。

華龍一号は、中国の主力輸出炉としても位置付けられ、海外への輸出実績もある。既にパキスタンのカラチ原子力発電所で20215月に2号機が、20224月に3号機がそれぞれ営業運転を開始している。20222月には、アルゼンチンの国営原子力発電会社(NA-SA)とCNNCがアルゼンチンでの華龍一号の建設に向けてEPC(設計・調達・建設)契約を締結したほか、英国やトルコなどへのプラント輸出の動きもある。

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