台湾 馬鞍山1号機が永久閉鎖
07 Aug 2024
馬鞍山原子力発電所Ⓒ台湾電力
台湾の馬鞍山(第三)原子力発電所1号機(PWR、98.3万kW)は27日、40年の運転期間を満了し、永久閉鎖された。これにより台湾で運転中の原子力発電所は、同2号機(PWR、97.5万kW)のみとなった。2号機は2025年5月17日に、40年の運転認可を満了する。
台湾では、2016年の民進党・蔡英文総統就任後、「非核家園(原子力発電のないふるさと)」を掲げて、脱原子力に向けたエネルギー政策が推進された。2024年5月に民進党政権が連続3期目に入り賴清徳総統に交代して以降も、同路線は堅持されている。これまでに既存炉6基のうち4基(金山1、2号機、國聖1、2号機)が40年の運転期間満了に伴い、2018~2023年にかけて順次閉鎖されている。また、建設途中の龍門(第四)原子力発電所1、2号機(ABWR、135.0万kW×2基)は、反原子力運動の高まりを受けて、2015年7月、両機とも正式に密閉管理の停止状態に置かれ、さらに2021年12月には、両機の建設再開の是非を問う住民投票が実施されたが、建設再開は反対多数(52.8%)で否決された。
台湾政府は、2025年の総発電電力量に占める各電源のシェアについて、再生可能エネルギーを20%、LNGなどのガス火力を50%まで引き上げ、石炭火力を30%まで低減することを目標としている。7月に台湾経済部が発表した「112年度(2024年度)全國電力資源供需報告」においても、再生可能エネルギーとガス火力の推進が改めて明示されている。なお、国際エネルギー機関(IEA)によると、台湾の2021年の総発電電力量は約2,909億kWhで、そのうち、石炭(44.3%)、天然ガス(37.2%)、石油(1.8%)などの火力発電が全体の8割以上を占めており、次いで、原子力が9.6%、再生可能エネルギーが7.1%(水力、風力、太陽光など)となっている。
一方で台湾国内では、現状の政策で電力の安定供給を維持できるのか、また今後の経済発展に向けて十分な電力供給が行えるのか疑問視する声も上がっている。5月8日には、台湾の主要経済団体であり、製造業関連団体を束ねている「中華民国全国工業総会」の潘俊榮理事が、総統就任直前の頼清徳氏も出席した理事会の場で、原子力発電の利用継続を要請。 さらに、7月10日には、立法院の教育文化委員会の会合で、原子力発電所の運転期間延長に関する原子炉施設規制法の改正について審議がなされたが、結論は先送りとなった。