原子力産業新聞

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規制委 敦賀2号機の審査「不合格」を了承

29 Aug 2024

石川公一

原子力規制委員会は8月28日の定例会合で、日本原子力発電敦賀発電所2号機(PWR、116万kW)に係る新規制基準適合性審査について、「安全上重要な施設(原子炉建屋等)は、将来活動する可能性のある断層等の露頭がないことを確認した地盤に設置する」との要求事項に適合しないことから、「原子炉設置変更を許可しない」とする「審査書案」を了承した。同案につき今後、パブリックコメントを実施することで一致し、これを踏まえ、正式決定となる運び。〈参考資料は こちら

2013年に原子力発電所に関する新規制基準が施行されてから、試験研究炉や核燃料サイクル施設も含め、「不合格」との結論に至ったのは初めてのこと。

原電は2015年に敦賀2号機の審査を申請。同社による地質調査に係るデータ疑義に伴い、審査が中断した時期があったが、敷地内の「D-1破砕帯」(2号機原子炉建屋直下を通る)の延長近くに存在する「K断層」の活動性および連続性が焦点となり、2023年9月以降、規制委審査チームは、計8回の審査会合、現地調査を実施。2024年7月26日に行われた同委審査会合では、「K断層」について、「後期更新世以降(約12~13万年前以降)の活動が否定できない」、「2号炉原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性が否定できない」ことが確認結果として示され、今回、「審査書案」としての取りまとめに至った。

同日の審査会合後、原電は、「今後も追加調査やデータの拡充に取り組んでいく」として、同機の再稼働に向け取り組んでいく姿勢を示したほか、8月2日の臨時会合では、社外の技術者も加えた専門チームを交えた追加調査内容を説明した上で、引き続き「今後の対応について検討していく」とのコメントを発表している。

原子力施設に係る審査において、特に地質・地震動については、断層活動性の見極めが人類史上以前であることなどから、規制基準に照らした判断が難しく、審査期間長期化の一因ともなってきた。今回の敦賀2号機に係る「審査書案」了承に際し、地震・津波審査担当の石渡明委員は「科学的判断の根拠を示した審査書だ」との見方を示す一方、プラント審査担当の杉山智之委員は「『白黒の判断』をつけることが簡単にできる分野ではない」と発言。山中伸介委員長は、定例会終了後の記者会見で、自身の委員就任以前に開始し、8年余に及んだ同機に係る審査期間を振り返り、「非常に大きな判断だった」と繰り返し強調するとともに、審査チームの労力にも言及し「十分に時間をかけて慎重に審査を進めてもらった」と所感を述べた。

なお、山中委員長は、今後、見込まれる同機に係る再申請について、「何ら否定するものではない」との姿勢を示している。

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