2025年度概算要求が出揃う
02 Sep 2024
2025年度の政府概算要求が8月末までに出そろった。
経済産業省は、合計で対前年度比23.7%増の2兆3,596億円を要求。先立ち、8月1日に行われた産業構造審議会総会では、2025年度の経済産業政策における重点として、「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」の実現が示された。その大方針のもと、今回の概算要求は、
- 国内投資拡大の継続・対日投資の拡大
- イノベーション・新陳代謝の加速
- 国民の所得向上
- GXの実現とエネルギー安定供給確保
- 経済安全保障の確保
- 大阪・関西万博
- 経済社会の基盤を支える最重要課題:福島復興・能登半島復興・レジリエンス
――の主要施策に大別されている(施策間の重複計上も含む)。〈経産省発表資料は こちら〉
GX・脱炭素エネルギーの関連では、同29.1%増の1兆2,487億円を要求。2040年を見据えた国家戦略「GX2040ビジョン」およびエネルギー基本計画の改定に際し、エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクに対応し、貿易収支の悪化から脱却するため、GX・省エネ投資の推進に加え、再生可能エネルギー、原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギーの供給を拡大する事業環境整備などを推進していく。その中で、高速炉・高温ガス炉の実証炉開発を図る「次世代革新炉の研究開発支援事業」については、同約1.5倍の829億円を計上。日本原子力研究開発機構や民間企業への技術支援を通じ、概念設計を進めていく。
福島復興の関連では、同33.8%増の629億円を計上しており、引き続き、福島第一原子力発電所廃炉の安全かつ着実な実施、ALPS処理水処分の安全性確保と風評対策、日本産食品の輸入規制撤廃への働きかけなどに取り組んでいく。
文部科学省は、「原子力分野の研究開発・人材育成に関する取組」として、同25.3%増の1,847億円を要求。年度内に設置許可申請の見込み時期が示される「もんじゅ」サイトを活用した新試験研究炉の開発・整備については、同約2.5倍の15.8億円を、2021年に運転再開した原子力機構の研究炉「JRR-3」の安定的運用・利活用促進については、同36.8%増の20.8億円を計上。次世代革新炉の開発・安全性向上に資する技術基盤整備・強化については、2026年度半ばの運転再開を目指す原子力機構「常陽」の安全対策工事などに向け、同約6倍の218.4億円を計上している。核融合エネルギーの実現に向けた研究開発の関連では、同34.7%増の287億円を計上。ITER計画の推進、原型炉実現に向けた基盤整備などを図っていく。〈文科省発表資料は こちら〉
この他、大型放射光施設「SPring-8」の高度化で132億円(新規、2028年度までの総額で約500億円)を要求しており、共用開始から25年以上が経過した同施設のアップグレードとして、約1年間の停止期間を含む4年間で「SPring-8-Ⅱ」の整備を行う。
原子力規制委員会は、同25%増の707億円を要求。「最終処分の安全確保に係る規制技術研究事業」、「福島第一原子力発電所事故の事象進展の解明に係る調査事業」として、それぞれ新規に3.2億円、2.9億円を計上したほか、機構・定員要求で、六ヶ所再処理工場の保障措置対応に係る業務増を見込み、長官官房参事官の新設(1名)、および68名の増員を要求している。〈原子力規制委員会発表資料は こちら〉