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米国 ノースアナ1−2号機も80年運転承認

03 Sep 2024

大野 薫

🄫Dominion Energy

米原子力規制委員会(NRC)は8月28日、ドミニオン・エナジー社がバージニア州で運転するノースアナ1、2号機(PWR、各100万kW級)に対して、2回目となる運転期間延長を承認した。

1978年と1980年に送電開始した両機は、2003年に当初の運転期間である40年間にプラス20年間の運転期間延長が認められ、現行の運転認可はそれぞれ2038年と2040年まで有効。今回さらに20年が追加されたことから、それぞれ運転期間は80年に延長され、1号機は2058年4月まで、2号機は2060年8月まで運転することが可能になった。ドミニオン社はこれまで両機の運転継続に向けて、発電機や復水器の交換、原子炉冷却ポンプの改修などの改造工事のほか、追加検査や機器の試験などを実施してきた。

ドミニオン社が両機の2回目の運転期間延長申請を発表したのは2020年9月。その前月には、NRCは同社の申請書を既に受理しており、NRCの担当部門は2022年1月に安全性評価報告書(SER)の最終版を発行したほか、今年7月には環境影響声明書(EIS)の最終版を発行。これらの中で、両機の運転期間をさらに20年延長したとしても、安全面や環境影響面の問題はないと結論付けている。

また、NRCの原子力安全許認可会議(ASLB)は、反原子力3団体がノースアナ・サイトの地震リスクを理由に聴聞会を要請したことに対応。2024年7月、ASLBは同要請について、「解決すべき争点が残っていない」と結論、反原子力団体による申し立てを退けた。なお、ASLBの決定は現在、NRCに上訴されているが、NRCの規則により上訴中であっても認可を発給することが可能。

NRCはこれまでに、送電開始以降の運転期間を合計で80年とする認可をフロリダ・パワー&ライト(FPL)社のターキーポイント3、4号機(PWR、各82.9万kW)、コンステレーション・エナジー社とPSEG社が共同所有するピーチボトム2、3号機(BWR、各141.2万kW)、およびドミニオン社のサリー1、2号機(PWR、各89万kW)に対して発給している。そのうち、気候変動を含む潜在的環境リスクの見直しに伴い、再評価が必要となったターキーポイント3、4号機とピーチボトム2、3号機については、再評価完了まで80年運転認可の効力が一時停止している。                                                                                                     

NRCによると、後続案件として7サイト・14基について現在、2回目の運転期間延長申請を審査中で、今後の申請予定については、名前が明らかにされていない原子力サイトを含め、18サイト・少なくとも20基以上にのぼるとみられる。

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