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米国で閉鎖炉が再稼働へ TMI1号機

27 Sep 2024

深澤伊弦

TMI1号機©Constellation

米国電力大手のコンステレーション・エナジー社は9月20日、同社が2019年に閉鎖したスリーマイル・アイランド (TMI)1号機を、再稼働させる方針を明らかにした。米マイクロソフト社と20年間の売電契約を締結し、同社のデータセンター向けに原子力による高品質な電力を供給する。再稼働時期は2028年を見込んでいる。

TMI1号機は電気出力89万kWのPWR。安価なガス火力に押されて経済性が悪化し、2034年までの運転認可を残したまま2019年に閉鎖された。なお同2号機は、1979年に炉心溶融事故を起こし、廃止措置が進められている。

コンステレーション社によると、1号機の再稼働に向け、今後、タービン、発電機、冷却システムなど、プラント設備の更新に16億ドル(約2,300億円)を投資するほか、米原子力規制委員会(NRC)および関連する州や地元当局への許認可申請を進める。加えて、同機の運転認可を少なくとも2054年まで延長する申請も行う予定。 

同発電所が立地するペンシルベニア州の建設労働組合協議会の調査によると、1号機の再稼働により、3,400人以上の直接的・間接的な雇用が創出され、州内総生産は160億ドル(約2兆3,000億円)増加、州税および連邦税も30億ドル(4,300億円)以上収入が増加するとみられている。

コンステレーション社のJ. ドミンゲス社長兼CEOは、データセンターなどの米国の経済的かつ技術的競争力にとって極めて重要な産業には、カーボンフリーで安定した大容量の電力の供給が必要であると指摘した上で、「原子力発電所は、それを実現できる唯一のエネルギー源である」と強調している。 

7月に発表された国際エネルギー機関(IEA)の報告書でも、データセンターによる世界的な電力需要増で原子力発電に対する注目が集まりつつあると指摘されている。同報告書では、TMI1号機と同じくペンシルベニア州にあるサスケハナ原子力発電所(BWR、133.0万kW×2基)に隣接するデータセンターの米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)社による買収例など、原子力の活用をめざす事例が紹介されている。

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