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石破首相が所信表明演説

04 Oct 2024

石川公一

石破茂首相が10月4日、国会で所信表明演説を行った。

「すべての人に安心と安全を」の大方針のもと、1日の内閣発足時に掲げた「日本を守る」、「国民を守る」、「地方を守る」、「若者・女性の機会を守る」の4基本方針に加え、第一に、政治とカネの問題に鑑み「ルールを守る」ことを標榜。政治家に対する国民の信頼回復に向けて、「政治家のための政治ではない、国民のための政治」を実現していく姿勢をあらためて示した。

「国民を守る」ことの関連では、食品やエネルギーなど、昨今の物価高を懸念。「物価上昇を上回る賃金上昇」、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」の実現に向け、経済対策を早急に策定することを明言。当面の対応として、エネルギーコスト上昇に強い社会の実現、地方創生施策の展開の他、元旦に発生した能登半島地震の復旧・復興、防災・減災にも取り組み、「誰も取り残さない社会の実現を」を目指すことを強調した。石破首相は、2015~16年に内閣府地方創生担当相を務めたことがある。

その中で、エネルギー政策に関しては、AI時代の電力需要の激増も踏まえつつ、脱炭素化を進めながら、エネルギー自給率を抜本的に高めるため、省エネルギーを徹底し、安全を大前提とした原子力発電の利活用、国内資源の探査と実用化と併せ、わが国が高い潜在力を持つ地熱など、再生可能エネルギーの最適なエネルギーミックスを実現し、「日本経済をエネルギー制約から守り抜く」と強調。それに向け、前岸田内閣下で進められてきたGX(グリーントランスフォーメーション)の取組を加速させることを明言した。

防災に関しては、熊本地震、能登半島地震とともに、その被災地に追い打ちをかけた豪雨被害などに鑑み、日本が世界有数の災害発生国であることを認識した上で、「人命最優先の防災立国」を確立することを標榜。まずは、内閣府(防災担当)の予算・人員の強化を図った上で、今後、専任の担当閣僚を置き防災・減災を一元的に所管する「防災庁」の設置に向け準備を進めるとした。

また、東日本大震災に関しては、「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生はない」との姿勢をあらためて示し、一部の国・地域による日本産水産物の輸入停止への「即時撤廃」を求める対応、輸出先の開拓などを推し進め、水産業のさらなる発展に努めていくとした。

演説の結びに、石破首相は、「納得と共感の政治」として、自身が政治家を志す原点となった元大蔵相・渡辺美智雄氏の言葉「政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語ること」を紹介。約40年前の当時を振り返り、「もっとお互いを思いやる社会だった。皆に笑顔があった。いつの間にか、日本はお互いが足を引っ張ったり悪口を言い合ったりするような社会になってしまった」と述べ、「もう一度すべての国民に笑顔を取り戻したい」などと、抱負を語った。

所信表明演説に対する各党・会派による代表質問は7日より行われる予定。

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