カザフスタン 原子力発電所建設に7割が賛成
08 Oct 2024
投票するトカーエフ大統領© President of the Republic of Kazakhstan's Office
カザフスタンでは10月6日日曜日、原子力発電所建設を問う国民投票が全国で実施され、唯一の設問「カザフスタンに原子力発電所を建設することに賛成するか」に71.12%が賛成した。投票率は63.66%だった。
K.-J. トカーエフ大統領は自身による投票後、記者団に対し、「今日は歴史に残る日となる。国民がどのような決定を下すにせよ、国家は国民の意志によって導かれる。これは画期的なイベントであり、私は国民投票の実施を支持する」と述べた。記者に、原子力発電所建設が国民の支持を受けた場合、採用炉型について問われると、私見としながらも、「供給者は国際的なコンソーシアムであることが望ましい」との考えを示した。
カザフスタンは世界有数のウラン産出国であり、旧ソ連時代から燃料製造や原子力研究などが積極的に行われている。カスピ海沿岸にあるアクタウでは、熱電併給・海水脱塩用の高速炉BN-350(15万kWe)が1973年~1998年に稼働していたが、現時点で国内に原子力発電所はない。化石燃料資源が豊富な同国では現在、総発電電力量の約70%を石炭火力、20%を天然ガス火力に依存しており、複数の石炭火力発電所が今後10年で閉鎖される予定。トカーエフ大統領は、脱炭素やエネルギー安全保障の観点から、原子力発電所建設には前向きの姿勢を示してきた。同大統領は今年6月、「エネルギーの安定供給なくして経済発展はない」として、国民投票の実施を表明していた。
カザフスタンでは、旧ソ連時代の40年間、同国東部のセミパラチンスクで456回の核実験が行われ、周辺住民の健康被害が長く続いた経緯もあり、国民投票の結果は注目されていた。