英ロールス・ロイス チェコ電力とSMR展開で提携
30 Oct 2024
ČEZとロールス・ロイスSMR社のパートナーシップ調印式 © Government of the Czech Republic
英ロールス・ロイスSMR社とチェコ電力(ČEZ)は10月29日、ロールス・ロイスSMR社製小型モジュール炉(SMR)のチェコへの導入に向けた、戦略的パートナーシップを発表した。
チェコ政府とČEZ(政府が70%の株式を保有)は今年9月、SMR供給者7社の中から入札によって英ロールス・ロイスSMR社をSMRの建設プロジェクトの優先サプライヤーに選定していた。今回の提携により、ČEZは数億ポンド(数十億コルナ)を投じ、ロールス・ロイスSMR社の約20%の株式を取得する。チェコ国内に合計して300万kWe規模の同社製SMRの導入を計画し、2025年にも建設工事を開始する予定。なお、SMR導入は大型炉のリプレースを意図したものではなく大型炉の補完を目的とし、初号機の稼働をテメリン原子力発電所の近くで2030年代前半に計画している。また、ロールス・ロイスSMR社の既存の株主である英BNFリソーシズ社、米電力会社のコンステレーション社、カタール投資庁(QIA)も同社製SMRの欧州および世界における展開に向けた能力強化を支援する。ロールス・ロイスSMR社とČEZは、今後数十年にわたって続くと予想される提携を両政府間の重要な関係強化の機会と捉え、グローバルなサプライチェーンの構築と両国でのスキル開発を通じ、大幅な経済成長を実現させたい考えだ。
ロールス・ロイス社のT. アーギンビルギッチCEOは、「ČEZを戦略的投資家およびパートナーとして歓迎する。この提携により、安定して安全な低炭素電力を供給する能力は一層強化され、当社のSMRの展開が英国、チェコ、そして世界中で成功するための準備が整った」と指摘。ČEZのD. べネシュCEOは、「今回のロールス・ロイスSMR社への出資により、国内外でクリーンな電力を供給する国際貢献が可能になる。チェコには世界有数の原子力サプライチェーン企業が複数あり、ロールス・ロイスSMRの技術開発への参加を通じ、将来のグローバル展開において重要な役割を果たす。我が国の原子力部門の成長と繁栄の機会をもたらすものだ」と抱負を語った。
ロールス・ロイスSMRは既存のPWRをベースとしており、電気出力が47万kWとSMRにしては大型なのが特徴。運転期間は60年以上。なお同炉は、英国の原子力発電所新設の牽引役として2023年7月に発足した政府機関「大英原子力(Great British Nuclear=GBN)」が実施するSMRの支援対象選定コンペで、今年9月下旬、最終選考に残った4炉型の1つ。