原子力産業新聞

海外NEWS

スロベニア クルスコ増設に関する国民投票を中止

06 Nov 2024

桜井久子

JEK2完成予想図  © GEN energija

スロベニア国民議会は1024日、クルスコ増設に関する国民投票を中止する決議を採択した。スロベニアはクルスコ原子力発電所における増設(JEK2プロジェクト)に向けて、1124日に国民投票を実施する予定だった。

国民議会は今年5月下旬、クルスコ原子力発電所の増設を含め、原子力のさらなる利用と開発を促進する決議を採択するとともに、11月下旬の国民投票の実施を承認。10月上旬には、1124日の国民投票の実施を可決していた。しかし、10月中旬、スロベニアのメディアは、与党の自由運動党(GS)と野党の民主党(SDS)の代表らが今年4月に決議案と国民投票の実施の可決をどのように成立させるか議論している非公式会合の様子を報じた。また、環境活動家を含む反対派は、有権者が十分な情報に基づいた決定を下すための十分な情報がないため国民投票は時期尚早であり、加えて、国民投票の一部設問が、「示唆的で操作的」であると指摘。国民投票に異議を唱え、憲法裁判所に訴えていた。

R. ゴロブ首相を党首とする与党第一党の自由運動党(GS)は、共謀の誤解を招くような報道や強い非難を受け、他の推進派とともに国民投票の実施への支持を撤回したと説明。また、今回の国民投票の中止は今後、国民投票が行われないことを意味するものではなく、年内中にJEK2プロジェクトへの投資をより効率的にするための特別法の基礎を準備し、法律の起草過程では、一般市民が参加できるようにして最大限の透明性と民主的プロセスを確保するとしている。遅くとも、最終投資決定(FID)に関するすべての詳細が明らかになる2028年には、国民投票を実施したい考えだ。

 

cooperation