原子力産業新聞

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ブルガリア AP1000の新設でエンジニアリング契約

07 Nov 2024

桜井久子

調印式の模様
© Ministry of Energy of the Republic of Bulgaria

ブルガリアのコズロドイ原子力発電所・新規建設会社(Kozloduy NPP–New Builds PLC=KNPP-NB)、米ウェスチングハウス(WE)社、および、韓国の現代E&C(現代建設)社は114日、ブルガリアの首都ソフィアで、コズロドイ発電所サイトに隣接して建設されるAP1000PWR125kWe)×2基に関するエンジニアリング・サービス契約に調印した。建設契約に先立ち、許認可手続きへの支援、プロジェクト管理、サイト計画などを含む契約期間12か月のプロセスが開始される。 

ブルガリア唯一の原子力発電所である、コズロドイ原子力発電所(56号機、各ロシア型PWR=VVER-1000)は、国内の総発電電力量の約1/3を供給する。14号機(VVER-440)は廃止措置中。今回新設される7号機と8号機にWE社製AP1000を採用する。7号機は2035年に営業運転を開始する予定。

KNPP-NB社のP. イワノフ社長、WE社傘下のWEエナジー・システムズ社のE. ゲデオン上級副社長、現代E&C社のユン・ヨンジュン(尹永俊)CEOが、ブルガリアのD. グラフチェフ首相、V. マリーノフ・エネルギー相、K. メルテン駐ブルガリア米大使、J. チョ駐ブルガリア大韓民国臨時代理大使の立会いの下、契約に調印した。WE社はAP1000の全体的な設計の責任を負い、AP1000の個々のシステムおよび建屋の設計に関する責任は、現代E&C社が負う。

ブルガリアのグラフチェフ首相は、「ブルガリアは原子力発電分野で50年以上の安全な運転経験がある。今回、原子力分野で世界的リーダーである、WE社ならびに現代E&C社と新設プロジェクトで提携できることを嬉しく思う。ブルガリアはプロジェクトの成功のために最大限努力する」と述べ、マリーノフ・エネルギー相は、「ブルガリア政府の優先事項に原子力発電開発があり、この方向への一貫した努力が今日の調印に繋がった。10年後、クリーンエネルギーを手頃な価格で提供する新規炉の完成を楽しみにしている」と語った。

メルテン駐ブルガリア米大使は、「米国製の先進プラント2基の新設は、ブルガリアのエネルギー安全保障を強化するとともに、ブルガリアを欧州地域の重要なエネルギー拠点として位置付けるものになる」と指摘、チョ駐ブルガリア大韓民国臨時代理大使は、「新規炉は、ブルガリアのエネルギーミックスにおいて信頼性の高い電源となり、エネルギーの自立、多様化、供給の安定化に貢献する」と強調した。

WE社は、本プロジェクトを支援するブルガリア国内のサプライヤー22社と覚書を締結したとし、AP1000のグローバル展開を支援する高レベルな雇用と経済効果の創出、および、ブルガリアとの長期的な関係強化に期待を寄せる。今回のプロジェクトが2009年のアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所建設の受注に続く、15年ぶり2度目の海外の大型原子力発電所の建設案件となる現代E&C社は、影響力を欧州全域に拡大していきたい、と意気込みを見せる。

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