石破首相所信表明 GX推進をあらためて強調
03 Dec 2024
石破茂首相は11月29日、前日28日に召集された臨時国会で所信表明演説を行った。
石破首相の所信表明は、10月の首班指名後にも行われ、衆議院解散、総選挙を経て国会での演説は2回目となる。今国会の開会に際し、
(1)首脳会合を経た今後の外交・安全保障政策
(2)日本全体の活力を取り戻す
(3)治安・防災
の3つの重要政策課題への対応を標榜。10月の演説で、「守る」との文言で述べた諸政策があらためて整理された格好だ。
外交の関連では、APEC(ペルー)、G20(ブラジル)への出席や各国首脳との会談に触れた。その中で、中国の習近平国家主席との会談に関しては、「日中間には様々な懸案、意見の相違がある」とした上で、日本産水産物の輸入解禁の早期実現など、通商関係で「かみ合った議論を行うことができた」と、成果を述べた。
また、旧安倍内閣で地方創生担当相を務めた経験も踏まえ、「地方創生は日本の活力を取り戻す経済政策」と強調。宮崎県小林市の若手職員・学生アイデアによる「故郷動画」の制作、鹿児島県伊仙町の子育て支援の事例を紹介。
エネルギー政策に関しても、「地方創生2.0」のビジョンの中で言及。GX推進については、「洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって新たな地域の活力につながる動きが始まりつつある」との取組姿勢を示した上で、事業者による投資の予見性を高めるよう、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として20兆円規模、官民で150兆円超の「GX投資」を実現すると述べた。なお、11月29日に経済産業省が取りまとめた2024年度補正予算案では、計5,000億円のGX関連予算が計上されている。
現在検討中の次期エネルギー基本計画については、地球温暖化対策計画とともに、「2040年に向けたビジョンを年内に示す」ことをあらためて明言した。
石破首相は、防災対策の充実・強化を目指し、これまでも防災・減災を一元的に所管する「防災庁」の設置を求めてきた。今回の演説でも、能登半島地震などの経験を踏まえ、災害に備えたキッチンカー、トレーラーハウス、トイレカーの供用、資機材の分散備蓄、災害ボランティアの整備に言及。東日本大震災の教訓から「災害関連死を防ぐ」として、2026年度中の「防災庁」設置に向け準備を進めるとした。
石破首相の演説に対し、12月2日からは各党派による代表質問が行われている。