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カナダ 深地層処分場サイトが決定

06 Dec 2024

桜井久子

スワミCEO(左)とボイル副理事長兼技師長
© Nuclear Waste Management Organization

カナダの核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は11月28日、同国の使用済み燃料を処分する深地層処分場の建設地をオンタリオ州北西部のワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)–イグナス地域に決定したと発表した。

カナダでは、原子力発電所の使用済み燃料を再処理せずに深地層処分する方針であり、2002年に設立された NWMOが、カナダの中・高レベル放射性廃棄物の安全かつ長期的管理を任務とし、2010年から使用済み燃料の深地層処分場のサイト選定プロセスを開始した。

当初、22自治体が処分場の受入れに関心を表明し、NWMOは集中的な技術研究を重ね、これら自治体の他、候補地がその領土内に位置する先住民族との関与を深め、徐々に候補地を絞っていった。2020年までに、オンタリオ州北西部のワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)–イグナス地域と、同州南西部のソーギン・オジブウェイ・ネーション(SON)–サウスブルース地域の2地点が候補地に残った。NWMOは今年11月中旬、先住民族であるWLONがイグナス地域の西およそ48kmのレヴェル湖エリアに処分場の誘致意思を示したと発表。イグナスの議会は今年7月、住民投票の結果、処分場の誘致に前向きであることを決定していた。一方、サウスブルース自治体は今年10月、住民投票の結果、僅差で処分場誘致を支持したが、SONは2025年まで決定を下さないとしていた。

サイト決定を発表したNWMOのL. スワミCEOは、「本プロジェクトはカナダの環境問題を解決し、気候目標を支援するもの。カナダ人と先住民が主導し、同意に基づく立地プロセスで推進された。これが歴史を作るということだ」とその意義を強調した。

カナダのJ. ウィルキンソン・エネルギー・天然資源相は、「WLON–イグナスの各コミュニティとサイト選定プロセスに関わった、多くのコミュニティのリーダーシップと積極的な関与に深く感謝し、NWMOの長年にわたる努力を称賛する」と述べた。オンタリオ州のS. レッチェ・エネルギー・電化相は、「オンタリオ州は、原子力のライフサイクルのあらゆる分野で世界のリーダーとしての地位を固めつつある。NWMOによるこの成果は、その最新の例だ」とサイト決定を称えた。

サイト決定を受け、今後は規制評価段階に入る。処分場の建設には、カナダ原子力安全委員会(CNSC)による建設許可とカナダ環境影響評価庁(IAAC)による環境影響評価が必要。CNSCはNWMOに規制上のガイダンスを提供するとともに、地層処分場のコンセプトに関するプロジェクト前の設計レビューを実施したという。NWMOはまた、先住民も参加した規制の評価と承認プロセスにも同意しており、このプロセスはWLONによって開発・実施される。NWMOは処分場の建設許可が2033年までに発給されると見込む。その後の建設期間を経て、2040~2045年に操業を開始したい考えだ。サイトとなるレヴェル湖エリアの結晶質岩層の特性にもよるが、処分場は地下約500m、面積約6㎢に建設される予定であるという。

 

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